複雑な事情が絡み合う… 日本人メジャー選手の来春WBC出場が困難なワケ

今大会はメジャーの超一流投手が参加を表明

 また、青木はアストロズに移籍したものの、チームはレギュラー候補の外野手を補強したため、再びFAとなる可能性が浮上している。FAとなれば去就長期化は必至。WBC出場へ大きな影響が出る。さらに、アストロズに残っても、他球団と契約しても、レギュラー獲得へ向けてアピールが必要な立場となることは確かなだけに、仮に球団がOKを出しても、青木がどう判断するか。本人は前向きとの報道もあるが、シーズンへの影響を考えて、WBC出場を断念しなければいけないかもしれない。5年連続でマイナー契約からメジャー昇格を掴んでいる川崎宗則内野手も、米球界に残るのであればアピールが必要な立場だ。

 そして、小久保監督が最も招集したいのは、メジャーの各球団で存在感を見せている先発投手たちだろう。岩隈久志(マリナーズ)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)の4人はWBC出場経験もあり、メジャーの強打者たちと日頃から対戦して抑えてきた経験もあることから、確実に計算できる戦力と言える。招集できれば、戦力大幅アップは間違いない。

 ただ、先発投手の招集は野手と比べると困難だ。米国、中南米、そして韓国代表として参加が決まっているメジャーリーガーは野手がほとんど。肩肘の酷使を嫌うメジャーにおいて、例年ならばスプリング・トレーニング中の時期に真剣勝負のマウンドに上がることは「リスク」と取られる。先発投手にはシーズン200イニングの登板が求められるが、故障の可能性が高まるようなことは極力避けたい。前回大会までを見ても、エース級の先発投手でWBCに出場したメジャーリーガーは少ない。

 一方で、今大会は初めて、MLBでも超一流と言われる先発投手が参加する可能性も伝えられている。規則変更で予備登録10人の中から選手の入れ替えが可能となり、準決勝や決勝の1試合のみの登板なども出来るようになる見込みで、これが追い風となっていることは間違いない。当然、これは日本人投手にも当てはまるが、それぞれの事情は大きく異なる。

 これまで、各国代表で参加に前向きと報じられているのは、今季2度目のサイ・ヤング賞に輝いたマックス・シャーザー(ナショナルズ、米国)、前回大会は出場しなかったマリナーズのエース右腕フェリックス・ヘルナンデス(ベネズエラ)。さらに、今季18勝を挙げたジャイアンツのジョニー・クエト(ドミニカ共和国)も参加が予想されている。もっとも、シャーザーは2021年まで7年総額2億1000万ドル(約238億円)、ヘルナンデスは19年まで7年総額1億7500万ドル(約198億円)、クエトは21年まで6年総額1億3000万ドル(約147億円)と長期契約を結んでいる選手ばかり。当然、シーズンでの活躍が義務付けられているが、来季のパフォーマンスが今後の野球人生に大きく影響することはない。

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