「日本一カッコいいチームを―」 異色のクラブチーム、東京メッツとは?

東京メッツが見せる魅力的な野球、ここから先がネクストステージ

 監督も変わり、フロント体制も変化し始めた。メッツの第二章が始まろうとしている。16年シーズンの最終戦である11月26日、駒沢球場に足を運んだ。「あいつ、この前まで野手で、投手になったばかりなんです」。先発した背番号「34」の赤坂優斗はキレの良いスライダーで相手打者に簡単にスイングさせなかった。

 また2番手の背番号「25」越沼君斗はインステップのサイドスロー。右打者はかなり打ちにくそうにしていた。その他、塁に出たら盗塁をどんどん仕掛ける。セフティスクイズを敢行する。面白い野球を魅せてくれた。(※2)

「こういう細かい野球はハイディさんの財産なんです。大きいのが打てないからいかにして点を取って行くか……」

 東京都クラブチームでリーグ優勝した理由がわかるような、良い野球だった。

 16年最後に見た試合がメッツだった。クラブチーム。NPBや野球日本代表「侍ジャパン」とは大きく違うカテゴリー。だがメッツのプレーする環境はピュアな部分が多いのではないか、と感じたのは言い過ぎだろうか……。

「ボビー(バレンタイン=元マリーンズ監督)とも話したことあるけど……。いつかメッツからアメリカのマイナーとかに選手を輩出したいですね」

 これからも様々な逆風が吹くだろう。でも前を向いて進んでほしい。

 最後に、メッツの応援で使用していた、中山美穂(竹内まりや、も唄っていた)「色・ホワイトブレンド」。ロッテ時代から続くウィットにとんだ選曲、応援、笑わせてもらった。

◇TOKYO METS(東京メッツ)
2010年にNPO法人として立ち上げ、12年に東京都野球連盟への加盟が承認。14年に東京都クラブチーム春季大会で優勝し、15年全日本クラブ選手権2次予選進出。BCリーグなど独立リーグにも選手を輩出している。

※1「ハイディ」古賀英彦
39年熊本県出身。ジャイアンツでプレー後、渡米。マイナーリーグなどで投手として活躍。帰国後はホエールズ、ライオンズ、ホークスでコーチ、通訳、編成担当などを歴任。90年からサリナス・スパーズ(カリフォルニア・リーグ)で日本人初の監督を務める。その後ホークス、マリーンズでヘッドコーチ、2軍監督も務めた。

※2背番号
本来の背番号は、#31赤坂、#25越沼。この日のゲームではユニフォームを忘れたことと、仮登録であった。

【了】

山岡則夫●文 text by Norio Yamaoka
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。 Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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