通算228盗塁、元G鈴木尚広氏が明かす盗塁の極意「投手を真面目に見ない」

注目の現役選手は日ハム西川「何か自分の中に根拠があるんでしょう」

――現役選手で走塁に一目置いている選手はいますか?

「日本ハムの西川(遥輝)君。足が速いし、成功率も9割近いですしね(昨季は.891)。積極的なよさがある。あれだけリードを取っても帰塁できるということは、何か自分の中に根拠があるんでしょう。これから警戒が強くなる中で、彼がどう成長するか見たいですね。もちろん相手は研究してくるので、その中でどう立ち向かうか」

――相手の上を行くにはどうしたらいいか……。

「そこに野球の面白さがあるんです。ずっと抜きつ抜かれつ。追いかけっこのだまし合いの中に勝負がある世界。盗塁は、特に代走での盗塁は、相手が準備しているところを、いかにかいくぐっていくか。武器も持たずに我が身1つで相手の城に乗り込むようなものです。そこで、いかに成功率が高いものを見せられるかですよね」

――時には、走らない勇気、決断も必要になりますね。

「走らないことで相手の精神に圧迫を掛けることもあります。こういう場合は打者にとって有利な展開になる。走って当然という場面でなかなか走らなかったり、スタートを切る素振りも見せず、相手バッテリーに『走るの? 走らないの? いつ行くんだ?』って考えさせれば、打者への攻め方は限られきますから。

 僕にとって盗塁を成功させることは大事なんですけど、それだけが与えられた役割じゃない。チームとして得点したいから僕を送り出す。盗塁を決めて本塁へ帰ってくれば、チームも僕も喜びます。ただチームとしては、尚広が出たら何かが変わるだろう、得点するための流れが変わるんじゃないかっていう目的を持って、僕を送り出す。だから、僕が走らなくても、1死一塁から打者がヒットを打って、一、三塁になればいいんです。チームとして得点するという枠の中に、僕の盗塁はあるわけですから」

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