「野球が好きな人にはたまらない」― プロ野球スカウトの仕事の裏側とは

年間数百試合観戦、数万キロ移動…ひと月休めない体力勝負も

 オフシーズンだからといって、ひまを持て余しているわけではない。アマチュア球界の練習視察やパーティー出席など挨拶回りに出向く一方、前年の指名選手の視察のため、新人合同自主トレや2月の春季キャンプに足を運ぶ。そのまま、大学や社会人のキャンプで沖縄に滞在することもある。

 そして、3月になると仕事も本格化。アマチュア球界最初の公式戦・社会人野球「東京スポニチ大会」が始まり、センバツ高校野球から大学野球の春季リーグ戦、高校野球の春季大会など、あっという間に慌ただしい日々にのみ込まれていく。

「シーズンが始まると、1日も休めない月もある」と前出のスカウトが言うように、体力勝負だ。

 お目当ての選手が出る試合であれば、試合前のシートノックから見守るために足を運び、アマチュア野球であれば1日2~3試合の視察は当たり前。3月や11月は寒風に、夏場は炎天下にさらされる。

 球速を測るためのスピードガンはもちろん、投手のクイックや野手の足の速さを測るストップウォッチに撮影用のビデオカメラなど荷物は重く、視察が終わればその日のうちにパソコンで上司にレポートを提出する。

 いくら現役時代に活躍した選手でも、移動は電車など公共交通機関が基本で、出張先では自ら予約したビジネスホテルに宿泊。時には複数人で視察するクロスチェックなど担当外のエリアや海外での国際大会も視察する。

 最も忙しいのは、7月の高校野球地方大会。有力選手の試合日程を把握し、1日に県をまたいで複数会場で視察することもある。

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