主将、ブルペンの軸、米挑戦…「当たり年」ロッテ11年ドラフト4人の現在地

新人3人でお立ち台も…鮮烈デビュー飾ったルーキーイヤー

 最初に輝きを放ったのが、ドラフト2位の中後だった。双子兄弟で根っからの関西人の盛り上げ役は、開幕戦の敵地・楽天戦。1点リードの8回1死満塁から救援という、ルーキーの初登板としてはあまりに酷なシチュエーションだったが、2者連続三振の鮮烈デビュー。左のサイドから繰り出すスライダーが鋭すぎるあまり、空振りした右打者の足に当たるという場面は中後の持つ潜在能力の高さを示した。

 同じ開幕カードの楽天3戦目。ドラフト1位の藤岡が堂々のデビューで中後に続いた。先発して8回途中を4安打2失点。捕手の里崎が「球がうなって捕るので精いっぱい」とうなった最速150キロの直球で押し、プロ初登板初勝利を上げた。11年ドラフトで最多3球団が競合した「大学NO1左腕」の片りんを遺憾なく発揮。大学2年までリーグ戦4勝にとどまり、一度は両親に「野球、辞めようかな」と漏らしたこともあるが、プロの舞台で大器が花開いた。

 そして、開幕から安定して結果を残し続けていたのが、ドラフト4位の益田だった。実は左利きながら、箸の矯正のために右投げに変えたという右腕は、開幕3連戦すべてに救援で登板すると、以降は勝ちパターンの一角を形成し、藤岡、中後とともに躍動。その象徴的なシーンとなったのが、4月30日の本拠地・ソフトバンク戦。先発して好投した藤岡を中後、益田の救援でリードを守り、3人そろってお立ち台に上った。最高の瞬間だった。

 これを複雑な気持ちで見つめていたのが、ドラフト3位の鈴木だった。

 オープン戦途中に2軍落ち。まぶしいシーンを寮のテレビで見つめていた。だが、東洋大の名将・高橋昭雄監督が「長年、監督をやってきた中で一番のリーダー」と人間性を絶賛した遊撃手。春季キャンプでは朝一番に同期の部屋を回って起こしていったというしっかり者は、決して心が折れることはなかった。2軍で着実に結果を残し、6月に1軍初昇格をつかんだ。

 4人全員がシーズン序盤、あっという1軍に顔をそろえた。だが、プロの世界は新人たちが全員、活躍し続けられるほど甘くはなかった。

 夏場に差しかかり、疲れが見え始めた藤岡と中後は2軍落ち。結局、1年目は藤岡が6勝7敗、防御率3.36、中後が27登板で2勝0敗、5ホールド、防御率4.87に終わった。一方で結果を残したのが、益田。72登板で2勝2敗、1セーブ41ホールド、防御率1.67で新人王に輝いた。鈴木は1軍に定着し、2年目の飛躍への足がかりを築いた。

 あれから5年–。それぞれの立場は変わった。

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