「嬉しかった」―ロッテ大嶺が見つけた、故郷・石垣島でキャンプを行う意義

19歳の若者が覚えた戸惑い

 縁があって、マリーンズに入団した。さらに不思議な縁は重なり、2年目には故郷・石垣島でキャンプを張ることになった。しかしプロで実績のない、まだ19歳の若者は島でのキャンプに戸惑いを覚えた。

「複雑な気持ちでした。知り合いもたくさん見に来てくれた。でも自分は仕事で来ているし、必死にアピールをしないといけない。いつもは距離が近い人たちや島の人たちとどう接していいか悩みました。立ち位置が分からなかった」

 いろいろな人に声を掛けられる。応援をしてくれる。それは心から嬉しかった。ただ、それに満足するような立場ではなかった。3年目も4年目もなかなか満足いく数字を残すことができなかった。だからこそキャンプでは死にもの狂いで投げなくてはいけない。島の人たちから優しく声をかけられる故郷でのキャンプは、生きるか死ぬかの想いでユニホームを着ている若者にはいつしか酷な重荷となっていた。

「悩んで球団に相談をしたことがありました。ボクはキャンプでの対応の仕方はどうすべきなのでしょうかと。球団からは『よくやってくれている。何も問題ないよ』と言っていただいた。嬉しかったです」

 だんだん、自分なりの接し方、身の振舞い方が分かってきたのは一昨年ぐらいから。そのシーズンは8勝を挙げ、自身も飛躍のきっかけを掴んだ。ただ、期待をかけられた昨シーズンは1勝。再び苦渋を味わった。10月、宮崎でのフェニックスリーグに参加した。各球団の若手選手たちが練習試合を行い、鍛えるその場でテーマを持って取り組んだ。

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