変化を恐れないホークス37歳右腕、プラスに働いたメキシコでの“勘違い”

メキシコWLでなぜか5試合先発…五十嵐は「無意識に負担のかからない」フォームに

 その数、77。ソフトバンクの五十嵐亮太投手(37)が宮崎キャンプ第1クール最終日の5日、ブルペンで投げ込んだ球数だ。プロ入りから708試合登板のNPB記録を持つ、中継ぎのベテランが投げるにしては多い気もする。ただ、その姿は、今季の復活に期待したくなるものだった。

 昨季の登板は33試合止まり。0勝1敗7ホールド、防御率3.62と不本意な成績に終わった。オフには一念発起。自ら志願して、メキシコのウィンターリーグに挑戦した。受け入れ先の勘違いもあって、なぜか5試合で先発するなど、7試合に登板。3勝2敗、防御率1.93の好成績を残した。

 ただ、その勘違いは、五十嵐にとってプラスに働いた。「試合で長く投げられたことが良かった。リリーフだと、いいか、悪いか分からないまま、終わってしまう」。長いイニングを投げる中で、その日その日のフォームを確認できた。さらには「無意識に、より負担のかからない形になっていったかもしれない」と体に負担がかからない、合理的なフォームへと近づいた可能性も示した。

 そのメキシコでの戦いから、宮崎でのキャンプは、継続してフォーム作りに取り組む。「左の壁の作り方。あとは肩の位置。いい位置で回旋させる」ことを意識する。この日のブルペンでは、ノーワインドアップでも投球し「リズムがつきやすい。たぶんコレでやります」という。

 この日、77球を投げても涼しい顔だった五十嵐。「いいものを見つけ出すことを、毎年考えている。去年できなかったことができているのは、進化なのかもしれないですね」。37歳にして、変化を恐れないその姿勢が、五十嵐亮太を復活に導く。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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