開幕投手=エース? 大役後の結果と傾向は 前回WBCイヤーは好成績ズラリ
前回WBCイヤーは楽天・田中らエース級回避も…全6投手が貯金作る
一昨年の2015年は開幕投手を務めた6投手全員が130イニング以上の登板を果たし、いずれも9勝以上の勝ち星を挙げた。また、各投手は防御率も2点台または3点台であり、全ての投手が安定したシーズンに。首脳陣の期待を背負い、それぞれが結果を残すことができた。
前回ワールドベースボールクラシック(以下WBC)が開催された2013年は、異例の年といえるかもしれない。2013年といえば、田中投手(当時楽天)の24連勝の年である。WBCに招集された各チームのエース級投手は開幕投手を任されることが少なく、楽天の開幕投手は当時ルーキーだった則本投手が務めた。ちなみに、パ・リーグで新人が開幕投手を務めたのは南海・杉浦忠氏以来55年ぶりの快挙となった。
WBC組で開幕投手ではなかった田中投手が注目される2013年ではあるが、この年の開幕投手を務めた6投手は全員が貯金を作っている。オリックス・金子千尋投手は、シーズン通算223回1/3を投げ、15勝8敗。200奪三振に防御率2.01。田中投手に沢村賞を譲ったが、例年であれば間違いなく受賞に値する成績だった。さらに則本投手、福岡ソフトバンク・攝津投手も15勝を挙げ、成瀬投手(当時千葉ロッテ)もケガの影響で14試合の登板にとどまったものの、6勝4敗。最低限の貯金は作った。
開幕投手を託されるのは、エース、あるいはエース級の信頼を得ている投手である。「エースとは」という問いは、いつも繰り返される問いである。圧巻の投球で試合を支配し続ける投手、たくさんのイニングを投げて投球回を稼ぐ投手などなど、チーム事情によって表れる成績は異なるかもしれないが、マウンドに立つ投手たちは間違いなくチームとファンの期待を一身に受けて、相手打者に立ち向かう。期待に応えたいという意地と意地のぶつかり合いが、開幕戦直前の華やかな雰囲気を「勝負の世界」に一変させる。果たして、今年はどのようなぶつかり合いとなるのだろうか。