地域密着狙うホークスの新たな試み 2軍球場で地元高校が新入生歓迎行事

タマスタ筑後の2軍戦で八女高校の生徒が応援や放送など運営に参加

 一風変わった盛り上がりを見せていた。福岡・筑後市内にあるソフトバンクの2軍本拠地「タマホームスタジアム筑後」。18日に行われたウエスタンリーグ・中日戦。そのスタンドの座席の多くを制服姿の学生たちが埋めた。スタジアム内に鳴るブラスバンドの演奏。それに合わせて、手拍子や応援歌が響く。その光景は、さながら高校野球の試合のようだった。

 テレビ中継などを見て、驚いたファンもいたことだろう。この学生たち、タマスタ筑後のお膝元、筑後市にある県立八女高校の生徒。この日は新入生の歓迎行事として708人の全校生徒でスタジアムに訪れ、同校吹奏楽部がブラスバンド演奏による応援を披露。この雰囲気に乗せられるように、一般のファンからも自然と手拍子などが起こった。

 なぜ、高校生がタマスタへ? その疑問に対し、筑後市の担当者は「八女高校さんが新入生歓迎行事として企画されて、ホークスさんと筑後市と三者で話して実現することが出来ました。子供たちに、こういう施設があることを知ってもらうだけでなく、筑後の誇りを感じてもらいたい」と狙いを説明してくれた。この日は応援だけでなく、場内の放送など様々な催しに生徒たちが参加。今後も福岡・みやま市の山門高校、そして八女工高校の応援も予定されているという。

■選手からも好評、川崎宗則は「新鮮で楽しかった」

 2016年3月にオープンした「HAWKS ベースボールパーク筑後」。ソフトバンク球団は、筑後市だけでなく、周辺の八女市、柳川市、大川市、みやま市、大木町、広川町の「筑後七国」と連携協定を結び、地域密着を図るとともに、地域貢献活動に取り組んできている。

 もともとの活動に、こういった応援は入っていなかったが、「地域密着の意味合いも、もちろんあります。これから、もっと筑後七国の学校さんに来てもらいたいですし、広げていきたいと思っています」と同担当者。今後の広がりに期待を寄せている。

 このさながら高校野球のような応援は、青春時代を思い出すようで、選手からも好評だった。5回まで出場した川崎宗則内野手は「楽しかったね。高校にブラスバンドがなかったから初めてで、新鮮で楽しかった。毎日やっていると(この楽しさを)忘れていくからね」と笑顔を浮かべ、先発した笠原大芽投手も「高校時代を思い出すような応援で新鮮な気持ちでした」と語った。

 新たな取り組みとなった、ファーム施設での高校生の応援。地域貢献、青少年健全育成の一環として、1つのきっかけとなるのではないだろうか。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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