盗塁数は少なくとも「技術」は進化 存在感際立つ現代の韋駄天たち

メジャーでも高い成功率誇った松井稼、「隠れ1位」はイチロー

 盗塁成功率史上1位の鈴木は1130試合に出場しているが、規定打席に達したことは1度もない。しかし、キャリア後半は走りのスペシャリストとして活躍。2005年から引退した2016年まで、12年連続で2けた盗塁を記録している。試合終盤、競った展開で鈴木が代走で登場すると、相手バッテリーには緊張が走ったものだ。

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マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

 松井稼頭央は、西武ライオンズ時代、走攻守三拍子そろった名選手だった。7年連続3割、20本塁打以上4回に加え、3年連続盗塁王。特に走塁では速さに加えベースランニングの巧みさでも抜群の存在だった。

 松井は2004年にMLBに移籍。ケガや故障に泣かされ、打者としては成功したとは言えない部分があるが、こと走塁に関してはずば抜けた記録を作っている。MLB時代、102盗塁して18盗塁死で、盗塁成功率85%。MLBの記録専門サイト「Baseball Reference」では、松井の記録を歴代9位と認定している。松井はNPBでもMLBでも超一流のランナーだったのだ。日本に復帰後は年齢もあって、盗塁数は減っているが、56盗塁10盗塁死、盗塁成功率84.8%の高率を誇っている。

 ちなみに、NPBの盗塁成功率では「隠れ1位」がいる。イチローだ。NPB時代のイチローは200盗塁に1足りない199で、盗塁死は33、盗塁成功率は85.8%にもなる。

 鈴木や松井、そしてイチローも含めて、現代の「韋駄天」は、盗塁数は昔ほどでないにしても、極めて精度が高い。走塁の技術も進化しているのだ。

【了】

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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