データで見る菊池雄星の進化…今季飛躍的に改善された3つのスタッツとは
K/BBは飛躍的に改善、立ち上がりのもたつきも消える
投球効率改善の最大の要因は、制球力だ。昨年までは四球が多かったために、投球数が嵩んでいた。2013年以後の奪三振数を与四球数で割ったK/BBの比率を見ていこう。
2013年 2.09(奪三振92 与四球44)
2014年 1.42(奪三振111 与四球78)
2015年 2.22(奪三振122 与四球55)
2016年 1.90(奪三振127 与四球67)
2017年 3.62(奪三振47 与四球13)
2016年までの菊池は三振を2つ奪う間に1人を歩かせる投手だった。2016年のパ・リーグ全体のK/BBは、2.14だから、菊池の制球力は平均以下だった。しかし、今年は三振4つ弱を奪う間に1人を歩かせるレベルに進化した。
さらに、菊池は最大のウィークポイントだった「立ち上がり」を克服した。2013年以後の先発登板での初回の失点と失点率を見てみよう。
2013年 2.65(17登板 失点5)
2014年 3.91(23登板 失点10)
2015年 4.71(21登板 失点11)
2016年 1.64(22登板 失点4)
2017年 0.00(6登板 失点0)
もともと菊池は左投手ながら右打者を全く苦手としないという長所があった。今季の対右打者被打率は.117と圧倒している。また100球を超えても球威が落ちないスタミナもある。この恵まれた資質に「無駄球」が減り、「制球力」がつき、「立ち上がり」も克服できれば、鬼に金棒である。
昨年、菊池は結婚するとともにMLBへの挑戦を口にした。MLBでは先発投手の指標としてK/BBを重要視している。また投球効率の良さも不可欠だ。
こういう形で進化すれば、MLB挑戦も夢ではなくなってくるだろう。今季、最終的にどんな成績を上げるのか、大いに期待したい。
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo