ロッテ涌井、55日ぶり白星で2勝目 6回に珍しく降板申し出「勝つために」

4月15日以来の勝利、お立ち台で「出来れば2勝目と言ってほしくなかった」

 ロッテ涌井が9日のヤクルト戦で、6回106球、6安打1失点と粘投し、4月15日の西武戦以来55日ぶりに今季2勝目を挙げた。お立ち台では「出来れば2勝目と言ってほしくなかった」と笑わせたが、涌井、石川両エースの不調は、チームの低迷を象徴していただけに、伊東監督も「(これで)少しは乗っていけるでしょう。調子自体はそんなによくなかったが、何とか粘ってくれた」と評価した。

 初回にパラデスの内野安打に失策もからみ、鈴木の3ランで一挙4点。試合前の野手ミーテイングの最後に「ワクさんに何とか勝たせてあげようという話になった」(角中)とナインの気持ちがひとつになったという。その角中も4回に5点目の適時打を放った。

 野手の熱い気持ちに応えないわけにはいかない。前回登板の広島戦(2日)では、初回に4点の援護をもらいながら、5回に田中に3ランを浴びて、一気に同点とされていた涌井。ビッグイニングを作られていただけに、これ以上、野手の信頼を失うわけにはいかなかった。

 5-1で迎えた5回1死満塁、山田に8球粘られ、フルカウントからの9球目に135キロのスライダーで空振り三振。続く坂口もスライダーで左飛に打ち取った。「とにかくああいうピンチの時は、腕を振って低めへしっかり投げる意識。最後にいいボールがいった」と涌井。失敗の反省をしっかり生かした。

 真っすぐも抜け気味で、調子自体は決してよくなかった。6回が終わったところで英二投手コーチから「どうする」と言われ「勝つためには代わったほうが」と珍しく自ら降板を申し出た。チームは6-1で勝利。「今日は早い回で降りて、次はしっかり調整して、最後まで投げます」と、ヒーローインタビューの最後はエースらしく、完投宣言でしめた。

【了】

細野能功●文 text by Yoshinori Hosono

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