なぜ広島に「1円」も入らない? 交流戦に思う疑問

2011年から導入された「TQB」とは

 TQBとは「トータル・クオリティ・バランス」の略。野球は攻撃イニング数と守備イニング数が必ずしも同数とならないため、このTQB、つまり「得失点差率」として数字を出し、攻守の優劣をつけるという基準である。国際野球連盟でも採用され、国際大会でも広く使われている。交流戦でも2011年以降、順位決定の方法に採用されている。

 この基準自体が悪いとは言わないが、このTQBが順位決定に影響を及ぼすにも関わらず、この実数値が公式に表に出されていないことに疑問を覚えた。今季の交流戦で3球団以上が並ぶ状況が最終戦終了直後に生じた場合、どのチームが最高勝率に輝いたか、瞬時に分かる人間が、果たしてどれだけいただろうか。現に、球団の関係者も正確には把握していなかった。

 この少々複雑な順位決定方法を定めているのであれば、公式に、随時、このTQBの数値が示され、ファンに提供されてもいいのではないか。ファンにとっては大事な情報となるだろうし、「ウチの球団は何点取って、何点以内に抑えないと、上位のチームを抜けない」という、少しコアな楽しみ方も提供できるかもしれない。

 今年で13年目を迎えた交流戦。ホーム、ビジターが半々の3カードずつとなったために「優勝」とは言わず、「最高勝率球団」となっているのも、やや分かりにくいところではあるが、セ・パが各リーグの威信をかけて火花を散らす貴重なイベントだけに、今後、どのように変化を遂げていくのか注目したい。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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