今でもシカゴで愛される男、ロッテ井口の功績 「彼は特別な存在」

不思議な縁のある5月3日、NPBでは満塁弾2本含む通算打率.365

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ホワイトソックス事務所内に飾られている井口の新聞記事【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 メジャー2試合目。初回に四球を選び、その後にメジャー初盗塁を決めると、6回の3打席目にはレフト線へ。これが後にメジャーで494本の安打を積み重ねる中での記念すべき初安打となる二塁打だ。チームも3点リードされた9回に一挙4点を奪い劇的なサヨナラ勝ち。井口にとって忘れられない一日となった。

「初ヒットのボールは今でも大切に飾ってあるよ。あとはランディ・ジョンソンから打った時のボールや、カート・シリングから打った時のボールなどもあるなあ。もちろん、初ホームランもある」

 そのメジャー初本塁打は5月3日のシカゴでのロイヤルズ戦。0-2の3回2死一塁でアンダーソンから左越えに同点本塁打を打ち込んだ。第1打席は左前打。第3、4打席は中前打と右前打で4打数4安打2打点の大活躍だった。振り返ればダイエー時代のプロ初本塁打も5月3日の近鉄戦(福岡ドーム)。「5月3日はなにか縁があるんだよね」と、メジャー初本塁打の感動と共に、不思議な気持ちになりながらダイヤモンドを一周した。ちなみに井口は日本球界では17年間で5月3日に52打数19安打4本塁打(満塁本塁打2本)15打点の打率.365。5月3日が特別な月日であるのは間違いないようだ。

 その後も井口は名門ホワイトソックスの2番・セカンドとして献身的なプレーを続ける。1番に足の速い選手がいたこともあり、走者が出た場合、基本的に1ストライクは打たないなどの細かい指示もあった。バントという作戦はないなかで右打ちの徹底など自ら多くの犠牲を払いながら、チームに貢献していく。その献身的な姿勢は最後に最高の結果として大きな花を咲かせることになる。1年目にしてワールドシリーズ出場。そして世界一である。テレビでしか見たことがなかった夢舞台。その中心に井口がいた。全世界の頂点を自らの手で体感した。

「パレードは凄かったね。200万人の人。道という道に何重もの人がいて。ダウンタウンの中心に位置する高層ビルも世界一になった夜は部屋の明かりでSOXの文字を作ってくれた。一つや二つではない。沢山の高層ビルがそうして祝ってくれた。あれは感動した」

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