「まだ野球をやってええんや」―期限を定めたメジャー挑戦、中後悠平の今

中後にかかる連続記録「プレッシャー掛けるのやめてくれます?(笑)」

 実は、心に決めていることがある。メジャーへの挑戦は来季限り。来季中にメジャー昇格が果たせなかったら、家族の住む日本へ戻るつもりだ。時差の関係でほとんど電話はできないが、2歳になる息子の写真を毎日愛妻が送ってくれる。去年オフに帰国した時は、父親と認識されずに大泣きされてしまった。「また泣かれるかな」と話す顔は、1人の家庭人のものだ。

「やっぱり家族があるんでね。息子も来年で3歳になるから、保育園にもいれなあかん。僕はこっちで野球しかやってなくて、日本のことは(妻に)任せっきりなんですよ(笑)」

 照れくさそうに笑いながら、心の中は大好きな野球を続けるためにアメリカに送り出してくれた妻、そして家族への感謝で溢れている。

 今年、中後がメジャー昇格すれば、24年連続で日本生まれの選手がメジャーデビューを果たすことになる。「僕一回クビになってますから、そんなヤツに連続記録とかプレッシャー掛けるのやめてくれます?(笑)」と笑い飛ばすが、今、そんな立場にいられる現実が幸せに感じるという。

「ホンマ野球ができない、野球をやめるしかないっていうところから、23年連続記録をつなげと言われる立場まで来れた。不思議というか、やっぱりなんか縁みたいなものがあるんかな。まだ野球をやってええんやなって思いました」

 期限付きのメジャー挑戦。野球の神様がつないでくれた縁に感謝しつつ、野球人としての責任、家庭人としての責任を果たすためにも、全力投球でチャンス到来を待ち続ける。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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