【田澤純一コラム第4回】スランプの前半戦分析、支えとなった「成長のための試練」の言葉

励みになった松坂の一言「成長するための試練だと思って頑張るべきだ」

 自分で前半戦を分析してみると、コースを狙い過ぎてボール判定が続いて自滅したこと、打者にボール球を振らせられなかったことが、大きな原因だと思います。どちらの場合もボール先行のカウントになってしまうので、結局はストライクゾーンで勝負をしなければいけない。甘く入った球を打たれたり、振らせたい球を振ってもらえず四球を出したり。そんな悪循環が続きました。

 ピッチャーにとってボール球を振らせることは重要です。ストライクを投げるだけではなく、ボール球を振らせたり、ファウルさせたりすることで、アウトを取るまでの配球が成り立つ。だけど、ボール球を見極められ、ボール先行のカウントになり、ストライクゾーンで勝負にいったところを捉えられてしまった。あまりにも打たれたせいで、正直どこにどう投げたらいいのか、分からなくなった時期もありました。

 今年は打たれている印象が強いと思いますが、前半戦の被打率は.209。昨年までで一番少なかった2012年でも被打率.227なので、数字だけを見ると悪くはないんです。ただ、実はそれ以上に悪いのはBB/9(9回あたりの四球数)で4.3。メジャーに定着した2012年以降では、一番多かったのは昨年で2.5でした。四球で走者を背負った場面で安打やホームランを打たれる。イメージに残りやすく、メンタルにも響く失点だったと思います。

 DLに入った後で「これはステップアップするために必要な時期なんだ」と、正面から向き合うことにしました。これまでも試練を感じたことが何度かありました。レッドソックスでは去年のプレーオフのロースターから外されましたし、何年か前も起用法が分からず悩んだことがあります。その時、同じチームにいた松坂(大輔)さんから「成長するための試練だと思って頑張るべきだ」と言われた一言が、今回も大きく響き、励みになりました。

強くなった「あそこには帰りたくない」の思い

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