U-12W杯で世界一を逃した侍 アンダー世代に見る日本球界の抱える問題

大人都合のトライアウト、受験前に各地で選考も…

 仁志監督は今大会のメンバーに入った18人のことを賞賛し、認めていた。ただ、その一方で、こうも言う。

「ここに出そうとしない大人がいるんです。子供達をこうやってチームにして『1つになれ』と言っている大人側が1つになっていない。1つにならないといけないですよね」。

 どういうことか。そこには、今の日本の少年野球界に根を張る課題があるのだという。

 現在、硬式球を使用する連盟はリトルリーグ、ボーイズリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグなどが存在する。今大会に向けて、東日本(神奈川県)、西日本(大阪府)で2度のトライアウトを行い、仁志監督ら首脳陣が選手選考を行ったのだが、このトライアウトに参加した計63選手は、リトルリーグやボーイズリーグなどチーム、各団体からの推薦があった選手だった。

 あくまでも、トライアウトに参加するまでの段階は、それぞれのチーム、連盟に一任されていた。その推薦に至るまでの段階で、チームやそれぞれの連盟の試合や大会などの都合を優先して、選手のトライアウト参加に消極的だったり、難色を示されることもあったという。トライアウトの前の段階で相当数の選手が候補から外れていた。この中には、今回の侍ジャパンU-12代表に割って入ってきてもいい選手がいた可能性があるのだ。

 U-12世代とはいえ、日本の総力を結集していたのかと言えば、首を傾げてしまう。仁志監督も「まがりなりにも日本代表なんです。アンダー世代って、プロとかに比べたら、小さいことかもしれない。だけど、この年代の代表チーム、U-15もそうですけど、そのチームを作っている意義というものを、もう1回考えないといけない。作るだけ作っておいて『あとはヨロシク』じゃいけないですよ」と疑問を呈す。

 また、トライアウトが行われたのが神奈川県、大阪府で行われた2回だったということもあり、トライアウト開催地から遠方の、例えば、九州や北海道といった遠方の選手が参加するのが難しい状況もあった。選出された18選手の内訳を見ると、東北地方が2人、関東が4人、東海甲信越が2人、関西が9人、中国が1人。様々な難しさがあるのは分かるが、トライアウト開催地を増やすなど、侍ジャパンサイドの選手選考方法にも、課題は多く残されている。

 今大会を見る限り、侍ジャパンU-12代表の選手たちは、世界と比較をしても、上手さを備えていた。ただ、チャイニーズ・タイペイやアメリカの選手たちは、上手いというよりも、凄かった。開催国のタイペイにはU-12世代にして130キロをマークした郭書?や、飛距離90メートル級の本塁打を放っていた白振安がいたし、アメリカのアトマンチェクは、大会最多タイの5本塁打を放ち、投げては日本戦で好投、捕手としても12歳にして膝を着いたままに二塁送球し、盗塁を刺した。

 スケール感という面では日本は、アメリカ、チャイニーズ・タイペイに劣っていたと言わざるを得ない。確かに、アメリカは体格的にも日本に勝る。チームで18本塁打を放ったが、それほど体格的にも変わらないチャイニーズ・タイペイはアメリカを上回る21本塁打を放った。侍ジャパンU-12代表は4本塁打だった。スイングの鋭さには、相当な違いが見られた。

仁志監督「逆シングルでもいいんですよ」

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