「憧れすぎた」井口と過ごす日々 ロッテ3年目内野手に残された僅かな時間

ロッテ・中村奨吾【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
ロッテ・中村奨吾【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「もっともっと一緒に野球をやって見習いたかった」

「若い子たちに成功してほしいといつも思っている。今、彼らに足りないのは引き出しの数かな。自分はそれを増やしてあげる手助けができればと考えている」

 井口もまた若い頃、同じ経験をした。何度も壁にぶち当たった。そのたびにホークスのスター選手であった秋山幸二氏、小久保裕紀氏ら先輩選手たちに声をかけられ、食事を共にすることでいろいろな話を聞いて勉強をし、成長をした。そして野球の引き出しを増やし、いろいろな状況に対応できるようになった。その経験があるからこそ、若手と一緒に過ごす時間を大切にしたかった。

「誘っていただいてビックリしました。でも、いろいろな話を聞きました。野球の話から普通の話まで。自分の事をいろいろと見てくれているのだという事を感じた。それが嬉しかったし、自分も期待に応えないといけないと思いました」

 中村は当時をそう言って懐かしむ。あれからよく声をかけられ、食事に連れて行ってもらう機会も増えた。そのたびにいろいろな考え方を吸収し、自分の引き出しを増やしていった。打撃では「タイミングが大事だ」と教えてもらい実践をした。「一番はタイミング。もっと早くタイミングをとった方がいい」と打撃に悩むたびに囁いてくれた。

 今シーズン、中村は前半戦、思うような結果を出すことができなかったが、徐々に持ち前の長打力でチームに貢献をするようになった。そして憧れの井口は6月に今季限りでの現役引退を表明。共にプレーできる時間は残り少なくなってしまった。

「打撃練習を見ていても42歳の打球には見えない。どんな打球にも一塁へ凄い動きで全力疾走をしている。野球人として、人間として尊敬をしている。もっともっと一緒に野球をやって見習いたかった」

 プロで3シーズン目を戦っている中村にとって憧れの存在は、まだかすかにも見えない遠い存在だ。9月24日、ZOZOマリンスタジアムでの背番号「6」の引退試合まで残された時間はわずか。期待をかけてもらい、アドバイスをもらった大先輩に成長をした姿をみせるべくバットを握る。

(マリーンズ球団広報 梶原紀章)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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