今季のセMVPは記者泣かせ 票が割れるのは確実、広島・丸が最有力か?

先発&救援投手で際立った成績を残しているのは?

【先発投手の各部門3傑】
〇勝利数
1.菅野智之(巨)15勝、2.薮田和樹(広)14勝、3.マイコラス(巨)13勝
〇奪三振数
1.マイコラス(巨)169、2.菅野智之(巨)161、3.メッセンジャー(神)147
〇防御率
1.菅野智之(巨)1.72、2.マイコラス(巨)2.15、3.メッセンジャー(神)2.46

 この数字だけを見ていると、巨人が優勝チームではないかと思えてくる。広島は薮田が14勝、岡田明丈が12勝、野村祐輔、大瀬良大地、九里亜蓮が各9勝。エース頼みではなくレベルの高い先発陣で勝ってきたのだ。

 では救援投手はどうか。

【救援投手の各部門3傑】
〇セーブ数
1.ドリス(神)34、2.田島慎二(中)32、3.カミネロ(巨)25
〇ホールド数
1.桑原謙太朗(神)37、2.マテオ(神)34、3.ジャクソン(広)、三上朋也(De)27

 救援投手だけなら、阪神が優勝したかと思える。広島はシーズン中に中崎翔太と今村猛がクローザーとセットアッパーのポジションで入れ替わったために今村が23セーブ17ホールド、中崎が7セーブ25ホールドと数字が割れてしまった。チームへの貢献度は高いが印象度は低くなる。

(リーグ平均防御率-投手の防御率)×投球回で算出される投手の総合指標PR(PitchingRun)で見ると以下の通りになる。

1.菅野智之(巨)339.50、2.マイコラス(巨)258.20、3.メッセンジャー(神)170.97

 広島の1位は中崎の113.23、投手のMVP候補を広島から見つけるのは難しいだろう。

 打者では広島の丸、投手は現時点では巨人の菅野が最有力と言える。丸はMLBでいえばマイク・トラウトのような選手だ。打撃各部門のレベルが高く、足も速い。出塁率が高く、守備も優秀で総合的な評価が高い。トラウトは6年のキャリアで打点王を1度取っただけだが、MVPを2度受賞している。

 しかし日本ではそうした指標よりもタイトルが重要視される。丸が最多安打に加えて打点王のタイトルを取れば有利だろうが、そうでなければ票が割れるのは確実だろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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