変則右腕のオールドルーキー 平井克典が西武のブルペンを静かに支える

西武・平井克典【写真:(C)PLM】
西武・平井克典【写真:(C)PLM】

「便利屋」を危なげなくこなす25歳の社会人出身ルーキー

 埼玉西武といえば牧田、シュリッター、増田といった試合終盤を締める「シンガリ部隊」が頼もしい。しかし、試合中盤のマウンドを任される「便利屋」のポジションは、例年手薄になりがちであった。そんな中、その役割を危なげなくこなす投手が現れた。25歳の社会人出身ルーキー・平井克典投手だ。

 愛知産業大学を卒業後、自身の腕でHonda鈴鹿を夏の都市対抗ベスト8に導いた平井は、昨年のドラフトで埼玉西武から5位指名を受けた。ファームで安定した投球を披露し、5月23日に1軍昇格を果たすと、中継ぎとして定着。先発投手が走者を残してマウンドを降りた場合や、試合中盤のピンチなどに登板してチームの勝利に貢献している。7月6日の北海道日本ハム戦では、同点に追い付かれた4回裏1死一、三塁という緊迫した場面で登板し、見事無失点で切り抜けると、プロ初勝利を手にした。

 平井の持ち味は、社会人時代から磨き続けてきた切れ味抜群のスライダーだ。これを140キロ台の直球とうまく組み合わせ打者を翻弄する。また、やや変則気味のサイドスローであるため、リリースポイントを見極めることが難しい。まだ長い回を投げた経験はないが、社会人時代は主に先発を務めていたことから、スタミナにも期待が持てる。

 平井は登板を重ねるごとにその安定感を増している。9月18日現在で37試合に登板して38回2/3を投げ、2勝0敗、3ホールド、防御率1.86。与四球は8と救援投手として頼もしい成績だ。激しい打撃戦の末、金子侑のサヨナラ打で劇的な幕切れとなった9月18日の福岡ソフトバンク戦でも、同点に追い付かれた3回表1死一、三塁から登板し、圧巻の2者連続三振を決めた。

 先発陣と救援陣の両方の負担を軽減する平井の存在は、長いシーズンを戦っていく上で必要不可欠なものとなりつつある。埼玉西武の強力な救援陣の一角で、静かに輝きを放ち続ける背番号25。シーズン最終盤、そして来季からのさらなる飛躍に、期待しないわけにはいかない。

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