引退試合は「右中間へ大きなフライを」―井口資仁のこだわり、若手への思い

「アウトであっても右中間に大きなフライを打つとか、そういうので終わりたいなって」

 2軍に来てからは、さらに多くの若手選手から質問を受けるようになったという。同じ内野手に限らず、外野手、投手…。まずは彼らの意見に耳を傾け、そこからアドバイスを送るようにしている。

 だが、まだ引退したわけではない。24日に大事な試合が1試合残っている。全体練習のフリー打撃では、代名詞とも言える右中間への力強い打球を連発。その後は室内練習場で100球以上を打ち込み、大粒の汗を流す。

「現役としてユニホームを着る最後の試合なんで、今まで追い続けてきたものを出せたり、自分の中で『これだ』っていうバッティングを1打席でもできたらいいなって。最近全然打ててないから、いいタイミングで2軍に戻してもらいましたよ(笑)。アウトであっても右中間に大きなフライを打つとか、そういうので終わりたいなって。

 自分の中で区切りの日。(8月28日の)福岡は楽しみでしかなかった。しかも、たまたま先発が和田(毅)だったんで、これは凄い巡り合わせだなって。4打席目がサファテになりそうだったんで、『和田で終わらせて下さい』ってお願いして、下げてもらったんですよ。

(24日の)日本ハム戦に先発で大谷(翔平)とか来たら、マジやめてくれって思ったけど、誰が来ても楽しみ。大谷から右中間にホームランとか? いや、無理でしょ(笑)」

 ひょっとしたら…。そんな期待も抱かせるくらい、最後の最後までバットを振り込み、感覚を研ぎ澄ますベテランの姿には、若手が学んでも学びきれないほどの野球がぎっしり詰まっている。24日、野球人・井口資仁の生き様を見せつける。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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