鷹・工藤監督、柳田の電撃スタメン決断の理由 「よく打てるなと逆に感心」

工藤監督「よく打てるなと逆に感心した」

「(柳田昇格の)決め手は本人とも話をして、下からの報告も良かったので。本人と話をして『どうだ?』と。ただ、結果は問わないよという話はしてありました。いるだけで全然違う選手だと僕は思っていますので、出てくれるだけでいいと。結果は問わないし、どういう結果になっても、こちらで責任は取るという話は本人にはしていました。1か月近くピッチャーの球を見ていないのに、よく打てるなと逆に感心しましたよ(笑)」

 指揮官が求めたのは、柳田悠岐という男の「存在」だった。チームの中で、何にも代え難い唯一無二の選手。ベンチにいるだけで、ましてやスタメンの中にいるだけで、相手に与えるプレッシャー。恐怖心は段違いになる。打てなくても、結果が出なくても、お構いなしだった。この日に限れば、工藤監督にとっては、柳田がそこにいてくれるだけでよかった。

 ただ、柳田は打った。約1か月ぶりの打席だったが、いきなりチームに勢いをもたらした。初回、いきなり楽天先発の美馬から詰まりながら、遊撃への内野安打を放って出塁。犠打で二塁へ進むと、デスパイネへの初球、カーブがショートバウンドとなり、捕手・嶋のミットからこぼれると、その瞬間にスタートを切って三塁を陥れた。デスパイネが四球を選ぶと、内川の中犠飛で先制のホームを踏んだ。さらに、4回2死二塁では、2番手・藤平から6点目を挙げる右前適時打を記録。2安打1打点1得点。指揮官の期待を遥かに上回る活躍だったことだろう。

 工藤監督は改めて、柳田への信頼度の高さを口にした。

「チームにとっていなきゃいけない選手だと改めて感じましたね。彼が打ったことで、先制の3点につながりましたから。いるだけで相手にプレッシャーもかかりますからね、ランナーに出れば、走塁もチームで1番、2番なので。久しぶりだったのに結果も出してくれたっていうのは、本当によくやってくれたと思います」

 球場の雰囲気も、そして試合の流れも、ソフトバンクに持ってきた。ぶっつけ本番での電撃復帰――。確かに、勝負を決まる第5戦で、絶大なる効果を発揮した。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY