技と読みを凝縮させた一打 鷹・長谷川勇「努力が少し実を結んだ」

苦しんだレギュラーシーズン、「1年間ちゃんと練習はやってきたつもり」

 今季は開幕1軍にこそ入ったが、4月22日にファームに降格。6月13日に再昇格したものの、7月21日に再びファーム行きを命ぜられた。その後、ペナントレース中に1軍から声がかかることはなかった。わずか23試合出場。2014年のオフに手術した右足首が影響していたとはいえ、かつてのタイトルホルダーとしては寂しい成績に終わった。

 再び、1軍からお声がかかったのは、クライマックスシリーズになってから。そのまま日本シリーズでもスタメンで起用されたが、「正直、僕は後半からしか1軍に来ていない。1年間やってきての日本シリーズじゃないので、他の人に比べたら、過程がない中なんで、とにかく自分のやることをやろうという感じ」と複雑な心中ものぞかせる。

 ただ、長かったファーム暮らしの中、練習は積み、納得するまでバットを振ってきたという自負もある。打球がテラス席へと消えた時に、右手を突き上げたガッツポーズ。「そりゃね、嬉しいですよね。1年間ちゃんと練習はやってきたつもりなので、あとはやるだけだと思っている。やってきた部分をほんの少しの自信に変えて、試合になったらあとはやるだけと思ってやっているので。そういう努力が少し実を結んだのでよかったかなと思いますね」。

 2013年に放った安打の数は198本。苦しんだバットマンが、日本シリーズの舞台で見せた技と読みを凝縮させた一打だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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