活躍したのは受賞者だけじゃない 新人王逃した過去20年のルーキーたち

新垣、村田ら「松坂世代」は大卒1年目も活躍

【2002年】

◯セ・リーグ
<2>吉見祐治氏(横浜) 先発投手
27試合 11勝8敗 188回 防御率3.64 与四球率2.25 奪三振率6.61

 新人王受賞者の石川雅規投手(ヤクルト)と次点の吉見氏はともに軟投派だが、多彩な変化球を操るのが前者で、典型的なカーブボールピッチャーが後者と、その投球スタイルは異なっていた。2人の奪三振率はリーグ平均を下回るも、制球力はルーキー離れしていて、特に石川の与四球率1.46は両リーグ3位。吉見氏は9月20日の中日戦で11イニングスを投げるなど5完投を記録したが、早期の降板もあり、やや波があった。プロ1年目と2年目の立場の違いも161対37の得票差に影響したものと思われる。

【2003年】

◯パ・リーグ
-新垣渚氏(福岡ダイエー) 先発投手
18試合 8勝7敗 121.1回 防御率3.34 与四球率2.23 奪三振率9.79

 前年のドラフト自由獲得枠で福岡ダイエーに入団した同い年の2人が新人離れの活躍を見せた。新垣氏は足を痛めて8月上旬にシーズン終了となったが、14勝を挙げて新人王を獲得する和田毅投手(防御率3.38、与四球率2.90、奪三振率9.29)と五分以上の投球内容だった。

◯セ・リーグ
<2>永川勝浩投手(広島) 救援投手
40試合 25S 41.2回 防御率3.89 与四球率3.46 奪三振率10.80

<3>村田修一内野手(横浜) 二塁手
104試合 打率.224 25本塁打 56打点 74安打 3盗塁 長打率.485 出塁率.303

“松坂世代”が百花繚乱。永川は開幕直後からクローザーを任され、代名詞のフォークで三振を奪いながら25セーブをマークした。村田は三振が多く、打率は低かったが、25本塁打のうち約半分の12本がセンターから逆方向と研磨された技術とパワーを見せつけている。新人王には10勝、7完投を記録した木佐貫洋氏(巨人)が選ばれた。

【2004年】

◯セ・リーグ
<2>大竹寛投手(広島) 先発/救援投手
43試合 17S 82回 防御率3.18 与四球率4.39 奪三振率9.99

 大竹は春先に5先発して2勝2敗、6イニングス以上を投げた4試合はいずれも3自責点以内で、4月21日のヤクルト戦では完投勝利を飾るなど好スタートを切った。その後に転向した救援でも38試合で防御率2.92と、チームのブルペンでは一番の安定感だったが、新人王投票では2桁勝利に到達した川島亮氏(ヤクルト)に大差をつけられている。

【2005年】

◯パ・リーグ
<2>中村剛也内野手(西武) 三塁手
80試合 62安打 22本塁打 57打点 0盗塁 打率.262 長打率.603 出塁率.320

 1軍に定着した中村が放った62安打のうち半分が長打と、規格外のパワーが実戦で花開いたシーズンだった。規定打席には届かなかったが、長打率.603は36本塁打をマークしたチームメイトのカブレラ氏(.606)とほぼ同水準。22歳以下でシーズン長打率6割に到達したのは、過去に中西太氏(西鉄)、掛布雅之氏(阪神)、松井秀喜氏(巨人)の3人だけだ。試合数の少なさを補って余りあるインパクトは残したが、同じく規定不足で10勝を挙げた久保康友投手(千葉ロッテ)に新人王を譲っている。

【2006年】

◯パ・リーグ
<2>平野佳寿投手(オリックス) 先発投手
26試合 7勝11敗 172.1回 防御率3.81 与四球率2.03 奪三振率5.48

 平野は1軍デビューとなる3月26日の西武戦に救援登板すると、2球を投じただけで降板となったが、2試合目で先発白星、3試合目には完封勝利を飾る。ともにリーグ2位の10完投、4完封を記録したが、6月中旬からは勝ち星を1つ加えたのみ。12勝8敗の八木智哉投手(北海道日本ハム)がほぼ満票で新人王を受賞した。

◯セ・リーグ
<2>吉村裕基外野手(横浜) 外野手
111試合 123安打 26本塁打 66打点 5盗塁 打率.311 長打率.573 出塁率.336

 26本塁打を放った吉村の長打率.573は400打席以上の打者でリーグ4位、パ・リーグベストの小笠原道大氏(北海道日本ハム)と同率という高水準だった。本塁打率15.23は、1986年に新人史上最多タイとなる31本塁打を放った清原和博氏(西武)の15.19とほぼ同じ。ただ、この年はプロ1年目でショートの定位置を獲得した梵(広島)が打率.289、13盗塁と走攻守でそつなく活躍して新人王を手にしている。

【2007年】

◯パ・リーグ
<2>岸孝之投手(西武) 先発投手
24試合 11勝7敗 156.1回 防御率3.40 与四球率3.17 奪三振率8.17

 岸は即戦力ルーキーとして申し分ない成績を残したが、甲子園を沸かせたゴールデンルーキーのプロ1年目はそれ以上だった。勝敗数は同じ数字が並んだが、田中将大投手(楽天)はイニング数で30回、奪三振は54個も多い。大卒、高卒で印象度に違いも与えたか、田中投手が大差で新人王に輝いた。

菅野、藤浪、茂木らも新人王受賞はならず

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