「アジアチャンピオンシップ」をどう見たか…現地記者が明かす台湾野球事情

元阪急ウイリアムズ氏が指摘「CPBLの打高投低は、台湾の投手が内角を攻められないから」

――こうした結果について、台湾メディアはどのように報じましたか?

「かつて阪急ブレーブスでプレーし、2013年から今年までCPBLの2球団(義大ライノズ、中信兄弟)で指導者を務めたダラス・ウイリアムズ氏は『CPBLの近年の打高投低は、台湾の投手が内角を攻められないことにある。結果、打者も内角球への対応ができなくなっている。国際大会ではそれがより顕著になる』という指摘しました。また『CPBLは現状4チームのみで、対戦カード、対戦投手が限られた中で、ゲーム内で適応・修正する能力が養われず、短期決戦でそれが露呈する形となった』とも指摘しています。

 この他、洪一中監督は具体的にどう変えていくべきか明言こそ避けたものの、大会でNPBとKBOの主審のストライクゾーンは広く、ピッチャーに有利となった一方、CPBLの主審はストライクゾーンが狭く、打者に有利であったと指摘しました。リーグの『打高投低』の解消、国際大会とのギャップ解消には、こうした点も考慮する必要があるかもしれません。

 様々な課題はあったものの、洪監督が『望みどおりの結果とはならなかったが、失敗から多くのことを学べた』と述べた通り、選手たちは同年代の日韓の選手のプレーから大きな刺激を受けたようです。『実力が及ばなかった。言い訳はしない』と語り、アメリカでの自主トレに向かう王柏融や、変化球を内外角にしっかり投げ分けることの重要性を痛感し、アジアウインターリーグで変化球を磨くと話した王鴻程(中信兄弟)など、前向きなコメントが多数見受けられました。

 また、今大会に選出されなかった若手選手も、現在開催中のアジアウインターリーグに多数出場しています。若い選手達が切磋琢磨して、来年1人でも多くの選手が1軍に定着し、リーグを代表する選手に育っていってほしいと思います。特に、先発投手の躍進に期待です」

――チャイニーズ・タイペイのチーム体制はどうだったのでしょう?

「今大会、日本と韓国は2020年の東京オリンピックに向け、専任監督が就任しましたが、今回チャイニーズタイペイの監督を務めた洪一中・監督は、lamigoモンキーズの監督であり、あくまで今大会の監督という扱いです。台湾では、国際大会における分担をめぐって、CPBLと野球協会が一枚岩でないという状況はありますが、五輪予選とされる2019年のアジア選手権やプレミア12に向け、監督の選出、チームづくりについて、足並みを揃えて進めていってほしいと思います」

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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