なぜ打てる捕手は絶滅危惧種に? 今オフ活発な捕手移動、背景に深刻人材不足
なぜ「強打の捕手」は急速にいなくなったのか―、球団が抱えるジレンマ
少し前まで、NPBには強打の捕手が常に何人かいた。一昨年まで巨人の正捕手だった阿部慎之助は、2000本安打、300本塁打、1000打点を記録。巨人史上最強の捕手だったが、一塁にコンバートされた。同じく巨人の捕手で、今季で引退を表明した相川亮二は横浜時代の2008年には打率3割をマークしたことがある。21世紀に入ってからでも、古田敦也、矢野耀大など中軸を打った捕手がいた。
なぜ、こうした「強打の捕手」が急速にいなくなったのか――。「打撃のいい捕手が見当たらない」という根本的な問題もあるが、それに加えて「打撃のいい捕手はコンバートする」傾向にあることも一因だろう。巨人の阿部は、十分に捕手としての実績を積んでからの配置転換だが、日本ハムの近藤健介、西武の森友哉、阪神の原口文仁のように、若手のうちに1度コンバートされるケースが目立つ。しかし3例とも、コンバートされた選手が怪我、故障、不振でレギュラーに定着できず、彼らに代わる捕手も育っていないというジレンマに陥っている。
「強打の捕手」が、攻守ともにチームを牽引する存在であることを考えれば、各球団は本気でこの育成を目指すべきだろう。
今季は広島に広陵高校の中村奨成という打撃に定評のある捕手がドラ1で入団した。同選手をはじめとする有望な若手捕手を安易にコンバートすることなく、大黒柱となる「強打の捕手」へと育ててほしいものだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)