CSでもチケット代変わらず 「感謝価格」を設定した西武担当者の思い

昨年のCSでは炎獅子ユニフォームを着用したファンでスタンドが埋まり、メットライフドームが赤く染まった【写真提供:埼玉西武ライオンズ】
昨年のCSでは炎獅子ユニフォームを着用したファンでスタンドが埋まり、メットライフドームが赤く染まった【写真提供:埼玉西武ライオンズ】

球団が設定できるCSチケット価格は“据え置き”、担当者が抱くファンへの感謝

 埼玉西武ライオンズの2018年のファンクラブ会員数が7万人を超え、キャンプイン時点では過去最高の人数になった。チームは昨年レギュラーシーズン2位と4年ぶりのAクラス入りを果たし、クライマックスシリーズ(CS)に出場。クライマックスシリーズのチケットはファンクラブ先行販売でほぼ完売し、一般発売では入手が難しい状況だったことも、ファンクラブへの入会者が増えた要因ではないかと担当者は話す。

 日本シリーズのチケットはNPBから販売されるが、本拠地で行われるクライマックスシリーズのチケットは球団が販売し、価格も設定できる。レギュラーシーズンより高い設定をする球団もあるが、ライオンズはシーズンを共に戦ってきたファンへの感謝の意味も込めてレギュラーシーズンと変わらない価格で発売したため、多くのファンがチケットを買い求めた。

「感謝価格」としてチケットを発売したのは「いつも応援してくれているファンの方に来ていただきたい」という思いからだ。チケット業務を担当する西武ライオンズ事業部の吉田康治さんは、ライオンズが日本一に輝いた2008年の日本シリーズ、学生インターンとして業務を行っていた西武ドームに、シーズン中によく見かけるファンの姿が少ないことに気が付いた。当時、日本シリーズのチケットはレギュラーシーズンの2倍~3倍ほどの価格で販売されていたため、応援に来られないファンが多かったのだ。シーズン中に何度も足を運んでくれた子供たちや、家族連れの姿は少なく、スーツ姿のサラリーマンの姿が目立ち、いつもはライオンズカラーに染まるスタンドも色がまばらになっていた。

「まだ学生インターンだったので、ファンの方に教えていただくことも多く、顔なじみになったファンの方たちもいました。でも、その方たちの姿が日本シリーズは少なかったんです。クライマックスシリーズまでは一緒に応援している感覚が強かったのですが…。『家族3人分のチケットは少し高いからテレビで観ます』というファンの方もいらっしゃいました」

嬉しかった「ファンとの一体感」も…「改めて適正な価格を模索します」

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