打率4割超も「脱走計画2回立てた」 DeNA乙坂がメキシコで体感した真剣勝負

経験した「サバイバル」、時には「ろくでなし」の言葉も

「何割打とうが、どうだっていいんですよ(笑)。試合に出たいから、結果を出さないと。マジでサバイバルですよ。みんな必死。チームメイトは普段めっちゃ親切だけど、同じポジションだったベテラン選手には毎日スペイン語で『ろくでなし』的なことを言われるし、飛行機移動の時とかチケット丸められたり。影で何か言われるより、逆にオープンでありがたいですけど。

 食べ物にも困った。試合後にシャワー浴びてホテルに戻ると11時半くらい。お店は11時には閉まるから、屋台のタコスしか食べるものがないんですよ。いくらタコスが好きでも、週7回はキツイです。遠征地までのバス移動も長くて、最長で11時間。アベレージが6時間くらいで、3時間だったら近い方で全然余裕、みたいな感じ。日本でいかに甘やかされていたか痛感しましたね」

 覚悟はしていた。2015年オフには筒香嘉智と一緒にドミニカ共和国へ渡り、練習生として現地の野球に触れた。だが「きっかけが欲しかった。行くんだったら、絶対1人で行きたかったんです」と、最初と最後の数日間は通訳を兼ねた日本人スタッフも滞在したが、残りの約3週間はまったく1人。「英語も喋れるって感じじゃないし、スペイン語なんて本当に分からない」という乙坂を、チームメイトをはじめ各所で出会う人が親身になって助けてくれた。「めちゃうれしかったです。感動したっす」という。

「でも、脱走計画を2回立てました(笑)。マジできつくて、試合が終わって夜部屋に戻ると『この3連戦が終わったら帰る!』ってiPadで飛行機調べて『もう絶対に帰る!』って思うんですけど、朝が来ると、球場に行ってみんなの顔が見たくなるんですよ。不思議と『球場に行きたくない』って感じにはならなかったですね」

メキシコで得た新たな気付き「その瞬間瞬間を一生懸命生きる」

RECOMMEND