パドレスGMが誇る「補強の1つ」 ダル、大谷らをサポートした日本人スタッフの存在

成功する選手は一握り「上手くいかなかった方が僕の心には残りますから」

 中垣氏は常に選手の成功を願い、目指しながら仕事に取り組んでいるが、残念ながら全員が成功できるほどプロスポーツの世界は甘くない。日の目を見ずにプロの世界から去っていく選手を何人も見送ってきたが、「過ごした時間が無駄じゃなかったと思ってもらえるように」「野球以外の分野でも生かせるように」心掛けていることがあるという。

「選手との取り組みには、筋道を立てています。ちゃんと筋道を立てて物を考えていく中で、達成できるものとできないものがある。できない問題を解決するために、理由や背景を持って物事を進めていく面白さ、大変さ、切なさ……そういうものを全部含めて、選手と一緒に責任を持って生活していくことが大事なんじゃないかと思います。それ以外に、携わった責任の取りようはないです。

 上手くいった例だけを引き合いに出されるけど、上手くいかなかった方が僕の心には残りますから。もう懺悔の気持ちです。もう少し上手く生かせるにはどうしたらいいだろう。もう少し才能を引き出すにはどうしたらいいだろう。そういうことを考えながらやっています」

 プレラーGMの就任以来、パドレスはマイナーシステムの立て直しを図ってきた。今季MLB公式サイトが選ぶ若手有望株トップ50の中に6人がランクインするなど、傘下マイナーにはブレイク間近の選手がひしめく。「やりがいのある選手がたくさんいるのが励みですね」。1人でも多くの選手が成功できるように――。中垣氏はそう祈りながら、異国で奮闘し続ける。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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