「迷うことはなかった」 マ軍復帰のイチローが貫いた「メジャーでやる気持ち」

マリナーズへの復帰となったイチロー【写真:盆子原浩二】
マリナーズへの復帰となったイチロー【写真:盆子原浩二】

周囲は日本球界復帰の可能性を考えるも…

 2001年にメジャーでのキャリアをスタートさせたマリナーズに6年ぶりの復帰を果たしたイチロー外野手。7日(日本時間8日)、米アリゾナ州ピオリアの球団施設で入団会見に臨んだ44歳ベテランは、落ち着いた様子で言葉を噛みしめるように自身の思いを語った。

 昨季終了後にスタートしたフリーエージェント(FA)市場は、史上に例を見ないスローな動きを見せた。近年の傾向として、メジャー球団は年俸が高額なベテラン選手よりも若手有望株を積極的に起用している。2001年のマリナーズ入り以来、史上30人目の通算3000安打達成など数々の偉業を成し遂げてきた“レジェンド”イチローであっても、そういった流れの中で移籍先探しに苦戦を強いられた。

 地元記者に「FA市場の動きが遅く、メジャーでのキャリアは終わったと思ったことはあるか?」と質問されたイチローは、「いろいろなことを考えました」と口を開き、言葉を続けた。

「いろいろなことを考えました。ただ周りも心配してくれる声はたくさん聞いたんですけども、僕自身の状態としては泰然とした状態だったと思います。それがなぜかは分からないんですけど、自分が経験してきて、よかったこと、そうでなかったこと、たくさん経験した上でそうなったのか。なぜそうなったのかは分からないですけど、ただ泰然という状態は、自分がプレーヤーとしても人間としても、常にそうでありたいという状態、目指すべき状態ではあったので、そういう自分に出会えたことはとてもうれしかったです」

 この日も改めて強調した「最低でも50歳まで現役」を目標に掲げる中で、そのプレーする場所として想定していたのは、常にメジャーの舞台だったという。

「迷うことはなかったですよ。メジャーでやる気持ち。これのみでした」

 直前まで日本でトレーニングを続けていたプロ27年目のベテランは、マリナーズからオファーを受けた時を振り返り、「この話をいただいた時に考える理由すらなかったです」と即決したことを明かした。「いずれまたこのユニフォームを着てプレーをしたいという気持ちが、心のどこかに常にあった」というのだから、メジャーへの気持ちを貫いたイチローにとって、この上ない果報となった。

「今は少し違う野球になってきた時代だと思うんですよね。その中で、印象としては(マリナーズは)ケージの中で一番大きく育ってしまった犬を優しく迎えてくれたような。それに対してすべてを捧げたいという忠誠心が生まれるのは当然のことだと思いますね」

 メジャーでやる気持ちを貫き、それを受け入れたマリナーズ。以前とはひと味違う円熟味を増したイチローが、チームにどんな化学変化をもたらすのか楽しみだ。

マリナーズ入団会見を行ったイチロー

(Full-Count編集部)

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