東北の野球文化を豊かにするために OB選手らが支える楽天アカデミー事業
小さなバンで東北各地を行脚、プロの技を“言葉”で伝えていく
これ以外にもスポットでのイベントも各地で開催。2月には新たな試みとして、駅伝・マラソン大会を楽天生命パーク宮城と隣接する仙台市陸上競技場を会場に実施。仙台市の少年野球チームに所属する小学生1632人が参加した。また野球肘検診の受診を出場の条件とすることで、スポーツ障害予防の啓発の機会にもした。
3月には、岩手県花巻市が「『復興ありがとうホストタウン』モデルプロジェクト」として実施した野球教室に協力。2009年から13年まで楽天に在籍し、現在は国際スカウトのダレル・ラズナー氏らが講師を務めた。
「アカデミー事業の発展は、やはりコーチたちの努力によるところが大きいと思います」
こう話すのは株式会社楽天野球団スクール部長で東北楽天リトルシニアの会長も務める渡辺誉志氏。アカデミーのコーチはイーグルスのOBを中心に現在は17名が所属。指導に加えて、試合中継の解説や学校訪問などもまかされ、球団職員に近い立場で様々な職務にあたる。球団も、楽天イーグルスのコーチやスカウトを目指す人材には、そうした経験を積むことを求めており、それがアカデミーのコーチたちのモチベーションに繋がっているという。
「多くのコーチたちは、最初は子供に野球を教える難しさに直面します。そこで、人前で話したり、伝えたりする技術を磨くことの大切さを実感する。でも、元々野球に人生を懸けてきた人たちですから、簡単にあきらめたりはしません。自分たちが学んできた野球をどう教えるか、どう伝えるかを必死に考えてくれる」(渡辺氏)
「そうやってプロの技が“言葉”になって広がっていくことで価値が生まれていくんです。我々のベースボールスクールは様々な場所で行うので、広い東北の各地を小さなバンに乗って回ることもあります。大変な仕事ですが、コーチたちの頑張りに支えられています」(同氏)
東北の野球文化を豊かにするための“土壌づくり”。その成果が少しずつ表れ始めている。
※『復興ありがとうホストタウン』モデルプロジェクト
内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局より「復興ありがとうホストタウン」に登録された、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の自治体が、これまで支援してくれた海外の国・地域に復興した姿を見せつつ、住民との交流を行う事業として実施するもの。
(「パ・リーグ インサイト」編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)