「僕は社会人になれていなかった」―阪神西岡の新たな挑戦「今すごく楽しい」
アキレス腱断裂は「まだ乗り越えていない、戦っている最中」
「鳥谷さん、糸井さん、福留さんのようにレギュラーを獲った選手は、自分との戦いでやっていかないといけないから、すごくしんどい作業なんですよ。でも、僕はレギュラーを獲ったろ、という立場。昔も、そう思って野球をやっていた頃が一番楽しかった。僕はもう1回それを経験できている。しかも、若い時はただ上を見るだけだったけど、今は上を見ながらも、体をどうにケアするべきか、どうトレーニングするべきか、反省と気付きを得た状態で毎日を過ごせているので、また違った楽しみがあるんです。
アキレス腱を切った後、多分大体の人は一塁になったり、代打になったりだと思うんです。でも、体も絞れて動けるようになって、秋のキャンプでもアピールできたから、二塁からもっと動きが大変なショートに挑戦させてもらえているんだと。僕自身も自信というか、いけるんじゃないかっていう希望が見えている。そんな甘くないのは分かっている中での戦いです」
アキレス腱断裂は「まだ乗り越えていない、戦っている最中」の壁だという。だが、逃げることなく、受け止め、立ち向かう姿に嘘はない。「人として強くなれたと思う」。そう西岡は言う。
「自分が一番分かるのって僕自身じゃないですか。ランニングで力抜いて走っても、周りからは分からないけど、自分には分かる。そこに嘘がなければ、一生懸命やれば、見てくれる人は見てくれていると思います。
逃げたら、そこで止まってしまう。もし今年、右のアキレス腱が切れても、僕はまたトライすると思います。取ってくれる球団はないと思うけど、自分でトレーニングをして、次の年トライアウトを受けたり、自分ができると思う限り、勝負し続けるだろうなって。今、野球がすごく好きになりましたね。
野球選手である前に、いち人間であり、いち社会人。僕は社会人になれていなかった部分がたくさんあった。今、どれだけ言葉で思いを伝えても、結果を残さないことには意味がない。人として気付かされたことを大切に、後悔の少ない日々を過ごしていきたいと思います」
2018年。嘘なく生きる西岡剛がどんな結果を残すのか。期待をしてもよさそうだ。