2008年のチームと共通点? 快進撃を続ける西武の強さは本物か

若い力で頂点まで駆け上がったライオンズブルーの戦士たち

 現役時代も東京ドームで数多く登板してきた渡辺SD。94年の巨人との日本シリーズでの写真が「アメリカで最も権威のある」と言われるスポーツ誌の表紙を飾ったことも。

「そんなこともあったね(笑)。そういう意味では縁の深い球場だけど、投げている時はやっぱり狭くてね…。でも他の投手が言うほどは嫌ではなかったよ。だって僕らはその前の後楽園球場で投げてたんだから(笑)。あそこは酷かった。ちょっと上がればホームランだもん」

 球団フロントの立場から今回のイベントをどう見ているのだろうか。「もちろん一番大事にしないといけないのは所沢だよね。でも大宮にもたくさんファンが来てくれる。東京ドームもそう。そうやって1人ずつでも西武ファンが増えてくれればね。個人的にはやっぱり08年のことを取り上げてくれるのも嬉しいしね。そういう年に久しぶりに勝ってくれたら、最高だよね」

 4万4978人。それにしてもお客さんがよく入った。もちろん中にはファンでなく、知り合いに連れられてきた人。招待券できた人など、様々だろう。しかし、それでも東京ドームはまさに立錐の余地がないほどの人、そして熱気に包まれた。所沢の集客も目に見えるように伸びている。間違いなくライオンズ・ファンは増殖している。かつて巨人と球界の盟主を争っていたころ、街中では「YG」だけでなく、「獅子」の帽子もよく見かけた。その時代に戻ろうとしているのか。

 西武は試合には惜しくも負けてしまった。源田壮亮の頭部死球、日本ハム・中田翔の一発など、いろいろなことがあった1日。しかしシーズンが終わった時、この4月17日は大きな意味を持った試合になるように思えた。10月。ここで日本シリーズを戦うライオンズ・ブルーの姿がよぎってさえ見えた。

 強い西武が戻ってくる。その時にはこの日、来場者に配られた08年仕様のユニフォーム姿が水道橋近郊にあふれる光景が再び見られるかもしれない。

(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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