西武山川&多和田が圧巻の数字 セイバー目線で選出する3、4月のパ月間MVP

投手部門は西武の2人が一騎打ちも…多和田と菊池の違いは?

◯3、4月月間MVP パ・リーグ投手部門
多和田真三郎(埼玉西武ライオンズ)
登板5 5勝0敗  
FIP 2.80 QS率 100%(リーグ1位)
WHIP 0.86 (リーグ2位)
防御率2.06 被打率0.194(リーグ3位)

 候補選手は7人。その中でも有力なのはこちら。

多和田真三郎(西武)
防御率1.86 5勝0敗 奪三振率5.66 被打率.194

菊池雄星(西武)
防御率3.34 5勝0敗 奪三振率9.00 被打率.171

 月間5勝を挙げた多和田と菊池の一騎打ちの様相を呈しています。なお、両者が登板した際の打線による援護率は多和田9.25、菊池8.03と大量の援護をもらっていることがわかります。防御率の差によって月間MVPは多和田に贈られるものと予想します。

 ではセイバーメトリクスでの評価はどうでしょうか。

多和田
FIP 2.80 被本塁打1 WHIP 0.86 QS率100% K/BB 3.67

菊池
FIP 3.34 被本塁打4 WHIP 0.83 QS率60% K/BB 4.38

 奪三振は圧倒的に菊池が多いのですが、被本塁打が多和田1に対し、菊池が4。この差が大きくFIPに響きました。またQS(クオリティースタート、6回以上を投げて自責3以内)でも多和田が5試合すべてで達成しています。ちなみに、今年から沢村賞の選考の補足項目に沢村賞式QSが導入されることになりました。沢村賞式QSは7イニング以上投げて自責点3以内で記録されます。この沢村賞式QSで見ても、多和田3回、菊池2回ですので、多和田に軍配が上がります。

 シーズン前の評価では、投手陣に対しての評価が低かった西武ですが、蓋を開けてみると先発投手陣のチームQS率は70.83%とリーグ1位の安定感を示しています。強力打撃陣が早々に先制点をもたらしてくれることによる安心感も影響していることでしょう。ただ5月に入って投手陣、特に先発投手陣の不調が見受けられます。5月以降の打撃陣と投手陣の噛み合わせに注目です。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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