スポーツ業界の人材難に一石か…パ球団と地元大学が進める新たな取り組み

授業をきっかけに広げたい学生の積極的な姿勢

 米国ではスポーツ業界を志す学生も大学のプログラムも多く、大学と1つのプロ球団が一体になって何か月にも及ぶ講義を組み立てるという例はあまり多くないように思う。だが、球団から現役職員が授業にゲスト講師として訪れたり、実際に学生たちが球場やアリーナに足を運び“生”の声を聞いたりすることは多々ある。多くの球団は各方面から来るゲスト講師のリクエストを公式サイトで承っており、公式サイトで学校や会社からのリクエストに応じてフロントの職員を派遣している。

 さらには、学生たちが考えるマーケティングプランを球団職員が審査するなどというプロジェクトも、私の大学時代には存在した。形は違ったとしても様々な関わり方を球団は地元の大学と作り出している。身近な存在を将来的な職員として迎え入れることは球団にとってもメリットは大きい。

 実際、私もメジャーリーグ球団とのインターンシップを行うことができたのは、こういった球団と大学との取り組みからだった。講師として訪れたOBに授業が終わった後、名刺をもらったことがあった。その時はそれ以上の進展はなかったが、少し時間が経過した後に連絡を取り、自分の持つ経験や日本語という武器が球団の思惑と一致することとなりインターンとして採用されることとなった。

 今回の九州産業大学の取り組みは活気的なことであることは間違いない。だが、参加する学生にとっては授業を受ければ、自然と福岡ソフトバンクホークスの職員となるチャンスが転がってくるわけではない。実際に授業を受け、関係性を築き、自らその扉を開いていくことで色んな可能性へと広がっていく。そんなストーリーが各地、各球団で見ることができれば、より面白い世界が広がってくるのではないだろうか。

 前出した福田准教授も「能動的に学習し、講師へ質問したり、関連する本を読んだり、現場に足を運んだりと積極的に活動してほしい。講座が終わった後もインターンや共同研究の場に参加したり、他のスポーツ組織での経験が積めるように自ら動いたりと、未来の自分を形作ることを意識した活動を継続してほしいと願っています」と、学生たちに積極的な姿勢を求めている。

(「パ・リーグ インサイト」新川諒)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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