ホークス攝津、涙の復活劇 ファンの声を「原動力」に618日ぶりの白星

ソフトバンク・攝津正【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・攝津正【写真:藤浦一都】

5回無失点の力投、お立ち台で感極まる姿にファンももらい泣き

 あふれる涙を抑えられなかった。ソフトバンクの攝津正投手が22日、西武を相手に5回無失点と好投し、自身2016年9月以来の白星を挙げた。

 技術以上に、気持ちで攻め切った。2回無死一、二塁で栗山、メヒアを2者連続三振。金子侑を必殺のシンカーで投ゴロに仕留めた。4回2死満塁のピンチも切り抜けた。102球、5四球は会心の内容ではないが、それでも試合を作って勝利を呼び寄せた。

 お立ち台に上がり「ありがたいです」と一言発すると、目を潤ませた。2016年9月11日、西武戦以来の白星。「内容は良くなかったけど、何とか粘ることができました」。この日はヤフオクドームの屋根が開放された毎年恒例のルーフオープンデー。こんがり日焼けをした状態で1軍のマウンドに戻ってきた背番号50は、福岡の風も感じながら久しぶりの白星を手にした。

 2009年、新人ながらリーグ最多の70試合に登板するなど勝利の方程式として2年間フル回転。2011年からは先発に転向し14勝。2012年に17勝を挙げて沢村賞を獲得するなど、5年連続2桁勝利と、申し分ない実績を残してきた。だが、年齢も30歳中盤に差し掛かり、2016年は2勝、昨年も7試合に登板したが未勝利。チームが優勝という輝かしい成績を残す中、かつてのエースはもがき苦しんでいた。

 そんな状況でも、ファンは見捨てなかった。言葉に詰まったのは、ファンへの思いを語ろうとしたとき。「筑後(2軍)で『頑張れ!』と。『1軍で待ってるぞ』と。その声が原動力になりました」。感極まる右腕にもらい泣きするスタンドのファンの姿も多くみられた。

 チームはエースの千賀投が右腕の張りで離脱。このピンチに駆けつけ、連敗ストップを、首位の西武相手に成し遂げた意味は大きい。工藤監督は「すごく躍動感があった。何とかしてやるという気持ちが表に出ていた。頼もしく見えた」と絶賛した。「次はもっとしっかりした投球して、勝利に貢献したい」とヒーローインタビューを締めた攝津。交流戦を前に、頼もしい男が帰ってきた。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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