「なんとかバットで返せたかな」―中日期待の大器・高橋、千賀から決勝3ラン

中日・高橋周平【写真:荒川祐史】
中日・高橋周平【写真:荒川祐史】

千賀のスライダーを右翼席へ運ぶ「甘い球がきたらいこうと思ってました」

■中日 5-4 ソフトバンク(8日・ナゴヤドーム)

 覚醒を期待されている大器が、大仕事をやってのけた。8日、本拠地ナゴヤドームで行われたソフトバンク戦。中日を最下位脱出に導く一打を放ったのは、高橋周平内野手だった。

 同点で迎えた4回。1死から平田、福田の連続四球で一、二塁のチャンスを作った。ここで高橋に打順が回ってきた。ソフトバンク先発の千賀が治療のために一旦ベンチへ。しばらくの間があったが、すぐの初球を捉えた。

「チャンスだったので、甘い球を見逃していくと追い込まれてしまう。真っ直ぐかスライダー、甘い球がきたらいこうと思っていました」

 まさに、言葉通りのスライダー。真ん中付近へと甘く入ったところを、思い切り振り抜いた。打球は高く舞い上がり、長い滞空時間の末に右翼フェンスの最上部に当たってスタンドへと飛び込んでいった。「いつもなら切れていくんですけど、ちゃんと振れたのでどうなるかと。ギリギリでしたね。切れなかったのでちゃんと打てたのかな」。勝ち越しの3ランとなった。

「守備でミスしていたので、なんとかバットで返せたかなと。結果的にそうなって良かったです」。試合後にこう語り、ホッと一息ついた高橋。2回のことだ。先発の松坂が先頭の甲斐に四球を与えると、続く千賀のボテボテのゴロを松坂、高橋、そして一塁のビシエドの3人でお見合いした。明石への四球で1死満塁となると、塚田の打球は一、二塁間へのボテボテのゴロとなった。

 打球を掴んだ高橋は、反転して二塁へ送球。これが間に合わずにフィルダースチョイスとなった。先制点は防ぎようがなかったが、ピンチを広げる形になった。松坂が踏ん張り、これ以上の失点には繋がらなかったものの、責任を感じていた。その後に巡ってきた好機で飛び出した汚名返上の一発だった。

 2011年のドラフト1位で東海大甲府高から入団し、プロ7年目を迎える高橋。今季は二塁手として50試合に出場している。166打数44安打4本塁打24打点。期待値からすれば、まだまだ物足りない数字ではあるものの、ファンからの期待は、やはり大きい。この日は勝利投手の松坂ではなく、高橋がお立ち台に。「やりました!」を連発して、ファンからの歓声を浴びた。未完の大器。この日見せた一発のような華々しい活躍をもっと見たい――。そう願っているドラファンは数多くいるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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