DeNA-ロッテで2件のボール直撃 試合前練習中の事故、過去に深刻な事例も
死亡事故だけでなく、選手生命を絶たれた例も
アメリカでは、2007年7月、コロラド・ロッキーズ傘下のAAタルサのコーチだったマイク・クールボーの頭部に打撃練習の打球が直撃し、これがもとで死亡した。クールボーの兄、スコットは阪神タイガースでプレーした。MLBではこの事故以降、一塁、三塁コーチにもヘルメット着用が義務化された。
練習中の事故で、実質的に選手生命を絶たれた例としては、阪神・三宅と巨人・末次の事例が知られている。
1962年9月6日、阪神の三宅秀史は、試合前のキャッチボールの最中に、エースの小山正明の送球を左目に受けた。これによって視力が急激に低下する。三宅は巨人の長嶋茂雄と並び称される名三塁手だったが、この事故のために700試合連続全イニング出場が断たれた。三宅は以後も控え選手として現役を続けたが、視力はついに回復せず、5年後に引退した。
1977年3月、オープン戦前の練習で、巨人の末次利光は、同僚の柳田真宏の打撃練習の打球を左目に受けて昏倒。病院に運ばれた。末次は王貞治、長嶋茂雄の後を打ち、「巨人史上最強の5番打者」と言われた。このシーズンに復帰を果たしたが、視界が狭くなったために十分な打撃ができず、この年限りで引退を余儀なくされている。
野球練習中の事故は、アマチュア野球でも起こっている。裁判になった事例だけでも十数件が報告されている。注意喚起をするスタッフが少ないアマチュア野球の方が、プロよりも自己のリスクが高いともいわれる。
野球関係者は6月12日の事故を受けて、さらなる安全管理につとめてほしいものだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)