メジャーは「夢」から「選択肢の1つ」に “田澤ルール”は見直しを検討すべきか

NPBを経ずにメジャー契約を結んだ田澤純一【写真:Getty Images】
NPBを経ずにメジャー契約を結んだ田澤純一【写真:Getty Images】

メジャーは“夢”から“選択肢の1つ”へと変化

 野茂英雄氏がドジャースで鮮烈なデビューを飾ったのが1995年。それから24年目を迎える今日に至るまで、かつては遠い存在だったメジャーや海外野球は、日に日に身近な存在となっている。日本プロ野球でさえ地上波では滅多に中継されない今、BC放送やCS放送、あるいはインターネット配信で簡単に視聴できるメジャー。視聴者としてファンが感じる距離感は、日本もメジャーもあまり大差はないのかもしれない。

 取材を続けて感じるのは、選手と海外野球の距離の変化だ。今の40代くらいまでは、メジャーといえば海の向こうにある夢の場所。いつかメジャーでプレーしたい。そういう強い思いを持った選手が、一度は日本プロ野球を経て“挑戦”する舞台だった。

 それが徐々に、野茂氏やマリナーズのイチロー会長付特別補佐らの活躍を経て変化する。メジャー球団にとって日本が人材発掘の場所としての評価を高め、数多くの球団が大学や高校、中学の大会にスカウトを派遣。同時に、U-12やU-15といった世代の国際大会、リトルリーグなど所属チームでの海外遠征など、選手自身が海外に触れる機会も増えた。

 高校時代の菊池雄星、大谷翔平、清宮幸太郎らが頭を悩ませたように、メジャーを含む海外野球はもはや遠い“夢”ではなく、より現実味のある“将来の選択肢”の1つになっている。先日、ロイヤルズとマイナー契約を結んだ16歳の結城海斗投手は、象徴的な例かもしれない。

 これから先を考えた時、日本プロ野球や社会人、大学、高校ではなく、海外でのプレーを選択する選手は増えてくるだろう。マイナーやメジャー球団でプレーした彼らが、次のステップとして日本プロ野球でプレーしたいとなった時、現行制度ではドラフト会議での指名が必要になる。だが、例えばメジャーで5年以上のキャリアを持っていた場合、高校生や大学生らアマチュア選手と同じ土俵の上で扱うことに、ひずみが生じる可能性はある。時代の流れや情勢の変化を見越しながらの新たなルール整備は、そのうち必要になるだろう。

 今から10年前に生まれた“田澤ルール”も、見直しが検討されるべきルールの1つかもしれない。新日本石油ENEOSに所属していた田澤純一は2008年のドラフト上位指名が期待されたが、日本プロ球団に指名見送りを求めてレッドソックスと契約。この後、NPBは通称“田澤ルール”と呼ばれる規定を導入し、アマチュア選手が日本プロ野球のドラフト指名を拒否して海外球団と契約した場合、当該球団を退団後2年間(高卒選手は3年間)は日本のプロ球団と契約できないと定めた。

海外野球経験者が日本球界にもたらす貢献とは

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