2016年のリベンジへ 日ハムの新エース上沢、今年こそ優勝の美酒に酔えるか
5月23日の段階では防御率1.18、序盤戦はまさに支配的な投球
ファイターズの背番号「15」といえば、1982年に20勝を挙げて最多勝、最高勝率、ベストナインを受賞した工藤幹夫氏や、先発と抑えの双方で活躍して1991年の最優秀救援にも輝いた武田一浩氏が背負った番号でもある。さらには2004年に最優秀救援を受賞した横山道哉氏、2010年に10勝を挙げて新人王となった榊原諒氏もこの番号をつけており、先述のメンドーサも含めて成功者の多い番号となっている。
当時、「背番号が変わって来季にかける思いもありますし、自分の中で良いきっかけになると思います」と背番号が軽くなった喜びを語った上沢投手は、「大好きなメンドーサの後に15番をつけられることもうれしいです」とも言及。自身が1軍にデビューした2014年に共にローテーションを支えた、背番号15の前任者に対する思いも語っていた。
シーズン前に大谷翔平投手、クリス・マーティン投手、増井浩俊投手といった投手陣の核となっていた選手たちがチームを離れたこともあり、今季の日本ハムは開幕前には決して前評判が高いとはいえない存在だった。そんな中で上沢は開幕ローテーション入りを果たすと、周囲の期待をさらに上回る圧巻のピッチングを見せていく。
5月23日の段階では防御率1.18という数字を記録するなど、序盤戦の投球はまさに支配的だった。その後はやや数字を落としたものの、6月26日の福岡ソフトバンク戦では完封を記録するなど、7回以上を投げて自責点が0の試合は14試合で実に6度。この数字からも、ハイレベルな投球をコンスタントに披露していることがうかがえるだろう。
優勝争いを続けるチームを牽引し、大谷に代わる新たなエースとしての期待も高まりつつあり、高卒の長身右腕という点でも、ダルビッシュ有投手や大谷といった日本ハムの歴代のエースたちと重なる部分もある。実際に「松戸のダルビッシュ」の異名を取った時期もあったという上沢がエースの系譜を継ぐ存在となれるかどうかは、今後の投球にかかってくるだろう。
故障を乗り越えて一段上のステージへと進みつつある若き右腕は、「松戸のダルビッシュ」から「ダルビッシュの後継者」となれるか。まだ24歳。大きな伸びしろを秘めた背番号「15」が、ファイターズが誇る新たなスターへと成長していく可能性は大いにあるはずだ。