2軍首位打者は出世しづらい? 過去9年のイ・ウ両リーグの打率トップは…

阪神・板山祐太郎【写真:荒川祐史】
阪神・板山祐太郎【写真:荒川祐史】

ウエスタンリーグには今季3割打者が不在、規定到達も9人のみ

 ペナントレースは後半戦に差しかかっているが、年間120試合前後のファームも80試合前後を消化している。

 現在のイースタン・リーグの首位打者は巨人・石川慎吾で打率.332、ウエスタン・リーグは阪神・板山祐太郎で打率.290。ウ・リーグは3割打者が不在。そもそも規定打席に達している打者が9人しかいない。

 ファームの規定打席は、試合数×2.7(小数点以下四捨五入)。1軍の試合数×3.1よりもハードルは低いが、1軍への昇格と降格を繰り返すファームでは、シーズン通してプレーする選手は少ない。調子が良いと1軍に上げられるので、3割打者が規定打席未達になるケースが多いのだ。

 そもそもファームの首位打者は出世しないと言われている。

 過去9年のイ・ウ両リーグの首位打者

◯イースタン
2009年 ムニス(ロ).342(70試263打90安)
2010年 森岡良介(ヤ).324(85試318打103安)
2011年 雄平(ヤ).330(96試294打97安)
2012年 隠善智也(巨).327(84試284打93安)
2013年 荒木貴裕(ヤ).337(92試356打120安)
2014年 高濱卓也(ロ).355(73試279打99安)
2015年 青松慶侑(ロ).298(85試255打76安)
2016年 中川大志(楽).287(85試275打79安)
2017年 高濱祐仁(日).295(92試288打85安)

2018年 石川慎吾(巨).332(71試190打63安)

◯ウエスタン
2009年 バルディリス(神).358(70試260打93安)
2010年 小斉祐輔(ソ).307(98試335打103安)
2011年 柳田殖生(中).319(90試235打75安)
2012年 中村晃(ソ).295(66試244打72安)
2013年 中西健太(ソ).323(93試313打数101安打)
2014年 牧原大成(ソ).374(91試321打120安)
2015年 上林誠知(ソ).334(88試308打103安)
2016年 塚田正義(ソ).305(116試407打124安)
2017年 メヒア(広).331(104試402打133安)

2018年 板山祐太郎(神).290(65試245打71安)

 両リーグ、過去9年で、4人の3割以下の首位打者が生まれている。

 イースタン・リーグの過去の首位打者で現在、レギュラークラスで活躍しているのはヤクルトの雄平くらい。ウエスタン・リーグでは、ソフトバンクの中村晃、上林誠知の2人がレギュラーになっているが、他には控えのままキャリアを終えた選手もいる。

 ソフトバンクは3軍までチームがあり、ウエスタンの試合だけでなく多くの試合を重ねて選手を育成していく。少し成績が良いからというだけですぐに上げることはなく、じっくり育成するから、ファームから人材が育つと言われている。

 他の球団は、調子が良ければ上げ、ダメになればすぐに降格させるので、シーズン通してプレーする経験を積むことができないのだ。

 今年の現時点の首位打者である巨人の石川、阪神の板山も一時は1軍で活躍した経験を持っている。彼らは2軍の実績を引っ提げて、再度1軍で活躍することができるだろうか。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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