遠征中は他球場で売り子の研究 「丁寧さ」と「笑顔」で有終の美狙うまりなさん
好きな選手は「田村選手。なんかかわいいなって」
経験を重ねるごとに体力もつき、今では「絶対に休まないこと」が何よりもの自慢。「毎試合必ず来ること。そして最初から最後までずっと売り続けること。ずっといるからっていう理由で買って下さる方も多いので。休まないことは負けません」と話す。遠征で長期にわたりホームゲームがない時は、体力維持のために走ったり、長い距離を歩いたり、準備に余念がない。
また、本拠地で試合がない時は、自身も“遠征”して研究を重ねる。
「試合がない時は別の球場に行って、売り子さんの動きを見たりします。どのくらいの頻度で回ってくるかなとか、実際に買って話をしてみたり、結構勉強になるんですよ。逆に、この球場ではこういう売り方をしているけど、マリンではあまり合わないかなとか、いろいろ考えます」
研究熱心なのは、元々の性格でもあるようだ。実は、売り子を始めた当初は、野球のルールを全く知らなかった。だが、「選手が打ってもお客さんがため息をつくことがあって、『何でかな?』って。それで試合が終わった後に『今日の○回には何があったんだろう?』って調べるようになったんです」と、今ではお客さんと野球の話で盛り上がるようになった。「田村(龍弘)選手が好きです。なんかかわいいなって。メッチャ好きです」と笑顔を浮かべた。
現在、大学4年生。「一緒に働く仲間も大好きで、お客さんも大好き」と毎試合楽しみにしている売り子の仕事も、あと1か月半で卒業。「めっちゃ悲しいです……」と半泣きの表情を浮かべるのも、年々増えてきた常連さんの中には、わざわざ生まれた子供を見せにやってきてくれる人もいるほど、温かい交流を持てていたからだ。
多くのお客さんに声を掛けられ、「周りきるのも大変になってきちゃって」とうれしい悲鳴を上げるが、優勝することがこれまで支えてくれた人たちへの恩返しにもつながる。「丁寧さ」と「笑顔」をモットーに、感謝の気持ちを込めながらラストスパートをかける。
(Full-Count編集部)