大阪桐蔭の優勝を“決めた”3ラン 宮崎は吉田の内角直球を「なぜ読んでいたか」

「金属バットを使っていることを考えると、プロくらいのレベルの高さがあった」

 もちろん、研究どおりの打撃を実行できたのは、大阪桐蔭の打線のレベルの高さがあったからこそだ。金属バットを使っていることで、木製バットのプロ球団と同じくらいの凄みがこの打線にはあったと、松井氏は評価する。

「金足農に勝つチャンスがあるとしたら、吉田君が万全の状態で9回を投げきるということが絶対条件だったと思います。それだけ大阪桐蔭の打者のレベルが高かった。しっかり研究していましたし、能力の高さを見せられたゲームでした。大阪桐蔭の打線は、プロ顔負けとまで言いませんが、金属バットを使っていることを考えると、プロくらいのレベルの高さがあったと思います。

 ただ、当然そこに辿り着くまでには、去年の仙台育英戦での悔しい敗戦があったはずです。あの試合では、中川君が敗戦の“当事者”になりました。それを受けて、1年間、日々鍛錬してきた結果でしょう。主将になった中川君が悔しい思いをチーム内に浸透させた。それに他の選手が乗っかっていったチームだったのだと思います。ただ単に力があった中での優勝ではなく、悔しさを糧に掴んだ優勝でした。

 近年では全体のレベルが本当に高いチームでした。1人のスターがいるということではなく、試合に絡む12~13人くらいの選手のレベルが高かった。当初から大阪桐蔭を中心に回る大会だという大方の予想がありましたが、結果的に見事にモノにしました。評判通りに力を出しましたし、精神力もありましたし、練習量もありました。それぞれが技術的、精神的、体力的に成熟したチームでした。一方で、この結果を見ると予選で大阪桐蔭を追い込んだ履正社の力も際立ちます。ただ、それも経験として大阪桐蔭に生きていたと思います」

 100回目の夏の甲子園は優勝候補最有力が頂点に立つという結末を迎えた。ただ、松井氏は全体的なレベルの高さを感じたという。「ここから何人がプロに入るかは分かりません。ただ、こういう選手たちが次のプロ野球を支えてくれると夢を見させてくれる大会でした。能力の高い選手がいっぱいいました」。日本球界の明るい未来は、高校球児の溌剌としたプレーの中にしっかりと見えた。

(Full-Count編集部)

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