【パ・リーグお仕事名鑑】野球への未練をビジネスで“払拭” PLMを支える元大手ゲーム会社営業マン
野球への未練をビジネスで払拭
PLMは、今年7月に人材紹介サービス「PLMキャリア」を開始した。同サービスでは、野球に限らずスポーツ業界で働きたい人材と、人材を求めているスポーツ団体や関連企業とのマッチングを行う。これは、もともと存在した企画を、園部さんが入社後に具現化したものだ。
「労働局に有料職業紹介の許可を取得しに行くところから始めて、責任者講習も受けました。ローンチをお知らせする『パ・リーグ キャリアフォーラム suppurted by DODA』の開催や専用サイトの立ち上げを経て、ようやく7月に本格的にサービスがスタートしました」
オープンして間もないが、まさにスポーツビジネスの中核とも言えるPLMが人材紹介を行うことには、すでに大きなメリットを感じているという。
「PLMはJリーグさんやBリーグさんなど、いろんなスポーツ団体、企業とお付き合いがあります。人事部だけでなく、日頃からビジネスサイドの様々な部署と接点があり、普段の仕事を通してどんな方がそこで働いているかが見えるので、職場環境や適性などを踏まえたご紹介ができるという強みがあります」
サービス開始直後からエントリーが殺到し、最近では業務の傍ら1日に3~4人と面談をしているそうだ。自らも他業種からの転職組である園部さんは、スポーツ業界で求められる人材像についてどう考えているのか。
「企業によってまったくニーズが違うので、一概にこうであるとは言い切れません。スポーツ業界経験者でないほうがいいという団体もあれば、『◯◯業界の経歴を優遇したい』と具体的に提示するところもある。もちろん同じ会社でも、急いで採用したい時もあれば、じっくりと採用に時間をかける時もある。全ては運と縁とタイミングですね。ですから、チャレンジしてみないとわからない。みなさんにチャンスがあると言っていいと思います」
ただ、チャンスはあったとしても、スポーツ業界に入って活躍できるかどうかはまた別の問題。園部さんのように組織を引っ張るリーダーとなり、毎日が楽しいと感じられるようになるためには、どんな資質が必要なのだろうか。
「スポーツが好きという気持ちはもちろん大事ですが、それだけでは足りないと思います。その『好き』をどうビジネスに変換できるか。そして、今の自分にはこれができて、数年後はこれをやりたいというビジョン、つまりCanとWillがしっかりあって、それに基づいて積極的に動ける人。それは、どの企業のどの職種でも共通して求められる資質だと感じます」
園部さんのように、昔スポーツをやっていて、「やっぱりスポーツ界で活躍したい」「スポーツ界に恩返しがしたい」という人も多い。ただし、その熱い思いをビジネスに変換できる視点が、現実的には不可欠のようだ。
「5年後、10年後にはPLMからスポーツ界に羽ばたいていった人材がたくさんいると考えると、連携もしやすくなりますよね。それは中長期的にはネットワークづくり、つまりスポーツ界を一つにすることにもつながると思います」
この夏はメジャーリーグやプロバスケットボールNBAなどの視察のために渡米し、アメリカのスポーツマーケットの大きさを目の当たりにしたという園部さん。多民族国家の共通言語としてスポーツが存在し、全米の広告宣伝費の約7割がスポーツに使われている現地の状況に、改めて夢が湧いてくる。
「日本のスポーツマーケットをもっと大きくしたいです。日本のプロスポーツリーグの多くは公益財団法人で、株式会社はPLMくらいではないでしょうか。日本ではまだスポーツでお金を稼ぐことへの認知が低いと思います。お金を稼ぐことでそれをファンへ還元し、より成長拡大に繋げることができる。そのためにも日本のスポーツの価値をもっと高めていきたいですし、自分もそれに貢献できる人材でありたいと思います」
(「パ・リーグ インサイト」岡田真理)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)