連覇が消えた日本、なぜ台湾に負けたのか? その敗因と突きつけられた課題

他国に遅れをとる木製バットへの適応

 今大会で、日本の選手たちが直面したのが、木製バットへの適応だった。甲子園に出場していたメンバーは、つい最近まで金属バットでプレーをしており、大会直前から木製バットを使うようになった。選手たちが口を揃えたのは、やはり、その打球の質の違い。金属バットであれば、少々芯を外しても当てただけである程度飛距離が出る。だが、木製バットでは当てただけでは決して満足のいく飛距離は出ない。しっかりとバットを“振る”ことが必要なのだという。

 今大会、侍ジャパンU-18代表はフライアウトが多かった。鋭い当たりかと思いきや、全く伸びずに平凡なフライで終わる、といった打球が続発していた。ゴロもほとんどが力のない打球。これも、金属バットと木製バットの違いに起因するのではないか。金属バットであれば、外野の頭上を越える打球となっていたのが、木製バットだったことで失速していたのだろう。チームで最も安打を放っている藤原でさえ「飛ばし方があまり分からないですね。ヘッドの抜けるポイントが違う。金属の振り以上のものは出せないですね」と語っていた。

 チャイニーズ・タイペイの選手たちは、日頃から木製バットを使用しており、選手たちから見ても、日本よりも木製バットを振り慣れていると感じたという。昨年のワールドカップも経験している藤原も「台湾も韓国もどちらもしっかりバットを振ってくる。自分たちは当てに行くバッティングをしていた。そこが違いかなと思います。去年もそうですけど、打つ力がない。投手はある程度抑えている。バッター陣が打たないと勝てないというのは誰が見ても分かると思う。まだまだ振る力が足りない。アメリカとかも木のバットなんで、そこの違いもあるんじゃないかなと。バッターの力不足だけなので、まだまだと感じました」と、日本の“課題”を指摘した。

 守備の乱れもあった。チャイニーズ・タイペイ戦の先制点もエラー絡み。韓国戦もエラーが吉田の3ラン被弾につながった。一方で、チャイニーズ・タイペイなどは好守を連発。日本以上の堅実さも見せていた。チャイニーズ・タイペイや韓国を格下だと見る向きもあるが、この大会を見る限り育成年代のレベルは同等以上だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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