西武、優勝を知る2人のベテランが存在感発揮 「いい雰囲気で戦えている」

西武・栗山巧と中村剛也(左から)【写真:荒川祐史】
西武・栗山巧と中村剛也(左から)【写真:荒川祐史】

リードを広げる2点タイムリーを放った栗山

■西武 6-2 ロッテ(9日・メットライフ)

 西武は9日、本拠地でのロッテ戦を6-2で勝利。その勝利を引き寄せたのは「真獅子の骨と牙」栗山巧&中村剛也のバットだった。

 両チーム点を取りあう中、3-2で迎えた5回。1死満塁の場面で前日同様、5番に入っている栗山に打席が回ってきた。「なんとか外野フライを」という、気持ちで打席に立っていた栗山は、カウント3-1からの直球をレフトへはじき返し、フェンス直撃の2点適時打でリードを広げた。

「今井も苦しんでいたので、攻撃でいいリズムを作って、ちょっとでも楽に」と、若き右腕を助けるべく放った栗山の一打に、「クリに続けてよかったです」と目下絶好調の6番・中村も続き左前適時打を放った。

「うまいことチャンスに回ってきたので、なんとか1点を取って、あとはおかわり(中村)に任せた!というくらいの気持ちで行きました」と栗山が語っていたが、その期待に中村も見事応える形となった。呼応する両ベテラン。その適時打に「なんとかしてくれると期待していた」と、辻監督も目尻を下げた。

 改めて言うまでもないが、栗山と中村は2001年ドラフト同期入団で同い年。17年間、苦楽を共にしてきたチームメート。昨年7月のPRポスターでは、2人揃ってメインビジュアルに取り上げられるなど、チームの象徴的存在となっている。その片翼である中村は、春先こそ不調に苦しんだものの、ここへ来て打撃が完全復調。8月は29安打、12本塁打、26打点、打率.319と全盛期を彷彿させる成績で月間MVP候補最右翼にも挙げられている。

 そんな中村の活躍について栗山は「(中村の活躍のみではなく)チームみんなの活躍が刺激になっている」としながらも「あいつ、気持ち悪いくらいに打っているので、負けないようにとかはないんですが、あいつの前で打つ時は、いい形でつなげようと思っている」と、つなぎの意識が好影響を生んでいるのか、栗山自身も9月に入り、様々な役割が求められる中、21打数11安打(打率.524)と調子を上げてきている。

 両ベテランの活躍に指揮官も「彼らは優勝を知っているメンバー。しんどい試合が続く中で、年齢も重ねていますが本当に一生懸命に練習し試合でも結果を出しているので、本当に頼りになります」と信頼も厚い。

 現在パ・リーグ首位につけ、優勝争いの渦中にいる西武。栗山は「そういう戦いができるのは、ものすごく幸せなこと。優勝へ近づいていけるということは嬉しいし、いい雰囲気で戦えていると思います。追いかけられているとかそういう意識はみんなないんじゃないかな。みんな一生懸命やってると思うし、必死でやっていると思う。点差に関係なく、守備、攻撃の切り替えもしっかりできていると思います」と語りチーム全体が集中力を持って戦えている。

 お立ち台に上がった栗山は「やはり一歩づつ近づいているという感じはありますし、それはファンの皆さんも一緒だと思うので、なんとかその皆さんと一緒にいい流れで戦っていきたいと思います!」と、力強く口にした。レフトの守備位置で誰よりもファンの声援を背中で感じてきた男は、この10年間のファンの思いとともに、優勝へ向け、残り21試合を全力で駆け抜ける。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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