「切り札、安心感、信頼感」―日ハム栗山監督、引退する矢野への想いを語る

日本ハム・矢野謙次【写真:石川加奈子】
日本ハム・矢野謙次【写真:石川加奈子】

10日が引退試合「『代打、矢野』と言えること自体が俺にとってはすごく大きかった」

 日本ハムの矢野謙次外野手が10日、本拠地でのロッテ戦で引退試合に臨む。試合前、栗山英樹監督は代打の切り札としてチームを支えた矢野への感謝の言葉を口にした。

「よくやってくれたし、感謝しかない」としみじみと語った。15年6月11日に巨人からトレードで移籍すると、翌12日からのDeNA戦3連戦でいきなり大活躍。12日には二塁打3本を放ってお立ち台に上がり、14日にも逆転の3ランで再びヒーローインタビューを受けた。「ファイターズ、最高!」と叫ぶ矢野を見つめる指揮官もうれしそうだった。

 栗山監督にとって矢野は唯一無二の存在だった。「競った時にここ一番で勝負ができる安心感があった。切り札、最後の勝負球を持っていることの安心感や信頼感。同じ代打でも、今出ている選手よりも打つ確率があるから行くというのと、切り札を切るといのは全然違うもの。そういう意味では『代打、矢野』と言えること自体が俺にとってはすごく大きかった」と絶対的な信頼を抱いていたことを明かした。

「代打で勝負できる選手は本当に限られているから。うちで言えば、稲葉(篤紀)の最後、ベンチにいた時かな。実績残して、ずっと野球をやって、本当に酸いも甘いも知り尽くしてないと、代打で勝負はできないところがあると思っている。若い人には難しい」と代打で結果を残すことの難しさを分かった上で発した最高の賛辞だった。

 引退試合にあたり、栗山監督はスタメンでの出場も打診したが、矢野からは「自分らしくいきたい」という返答があったという。最後の試合は、代打での登場になる見込み。「謙次のためにもいい試合にしないとね」と語った栗山監督。最高の場面で、たっぷり思いの詰まった切り札を切る。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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