NPBとの再契約求め…元中日ロンドンらBC福島ベネズエラ人コンビの去就に注目

BCリーグ福島で活躍する元中日ロンドン(左)とビスカヤ【写真:佐藤直子】
BCリーグ福島で活躍する元中日ロンドン(左)とビスカヤ【写真:佐藤直子】

元中日ロンドンは防御率0.00、25歳ビスカヤは先発・救援で大車輪の働き

 ルートインBCリーグの福島ホープスは、今季3年連続で地区チャンピオンシップに進出したが、前後期連続優勝で大きなアドバンテージを持っていた群馬ダイヤモンドペガサスと第1戦で引き分け、リーグチャンピオンシップには進出できなかった。だが、福島は前後期ともに群馬に次ぐ2位と健闘。その屋台骨を支えたのが、今季から加入したホルヘ・ロンドンとアントニー・ビスカヤのベネズエラ人投手コンビだった。

 セットアッパー&守護神として活躍したロンドンは、シーズン途中の6月下旬に入団。20試合に登板し、防御率はなんと驚異の「0」。2失点を記録したものの、自責0を守り抜き、鉄壁のクローザーとして2勝1敗6セーブの成績を残した。一方のビスカヤは、開幕当初は守護神として7セーブを挙げながら、先発に配置転換された後は3試合で完投。通算32試合に投げ、6勝4敗、防御率2.04と、文字通り大車輪の働きだった。

 昨季はNPB中日に所属したロンドンは、1軍ではわずか4試合の登板で防御率5.79。最速159キロの速球にスライダーを駆使した持ち味を生かし切れず、自由契約となっていた。今季は米ホワイトソックス傘下2Aバーミンガムで開幕を迎えたが、5月10日に契約解除。「またNPBでプレーしたいと思ったんだ」とNPBとの契約チャンスを求め、福島にやってきた。6月27日の初登板以来シーズン終了まで自責点ゼロという圧倒的なパフォーマンスを披露。力強い速球に加え、「中日時代に教わったフォークが生きているんだ」と話す。そして、そのフォークを教えてくれた人とは……。

「実は、森(繁和)監督が教えてくれたんだよ。落ちる球を覚えた方が投球の幅が広がるって。ベネズエラでもアメリカでも、落ちるたまって言えばチェンジアップ。フォークやスプリットは肘を痛めるから、という理由で、若いうちに教わることはほとんどないんだ。でも、実際にフォークを投げてみると、こんなに使える球はない。特に、自分の生命線は速球だから、落差と球速差のあるフォークはかなり有効なんだ。森さんに感謝です」

 そして今ではビスカヤもフォークを持ち球に加えた。「まだまだ習得段階だけど、フォークは空振りを奪える球。とても有効だと思う」と手応え十分だ。ビスカヤは2012年にインディアンスと契約を結ぶが、2014年に傘下1Aでプレーした後、2015年春に契約解除。その後は、母国ベネズエラのウインターリーグやコロンビアの野球リーグでプレーしていたという。「コロンビアでプレーしていた時、日本の独立リーグでやってみないかって声を掛けられたんだ。どこでもいいから野球ができる環境がほしかった。だから、一も二もなくオファーを受けたんだ」と話す。日本語はもちろん英語も片言。それでも「野球の言葉は何となく分かる」とたくましい。途中加入以来、時には英語とスペイン語の通訳として手助けしてくれるロンドンには感謝しきりだ。

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