育成中心か、即戦力かはっきり分かれる方針…過去5年のドラフト戦略【パ編】

過去5年、ソフトバンクは高校生偏重の指名を行ってきた【写真:藤浦一都】
過去5年、ソフトバンクは高校生偏重の指名を行ってきた【写真:藤浦一都】

明らかに高校生の育成を前面に押し出すホークス、日ハム

 2018年のプロ野球新人選択会議(ドラフト会議)は25日に行われる。毎年、高校・大学・社会人を中心に多数の選手が指名され、プロの世界に飛び込むが、各球団がそれぞれのレベルの選手をどんな割合で指名するかは、その球団の育成に対する考え方の違いが見えて非常に興味深いものがある。

 過去5年間のパ・リーグ6球団の指名選手を、高校・大学・社会人・その他(独立リーグ・専門学校・卒業後しばらくしての指名など)に分類すると、以下のようになる。(指名選手はあくまでドラフト会議での指名。育成ドラフトでの指名選手はカッコ内に記載)

〇パ・リーグ

西武 高校生11人(育成2人)大学生13人(育成2人)社会人8人(育成0人)

 大学生中心の傾向。今季本塁打王の山川穂高(2013年2位)、外崎修汰(2014年3位)、今季最多勝の多和田真三郎(2015年1位)と3年連続富士大から上位指名した選手が主力に成長。全日本選手権、神宮大会などで実績があるとはいえ、北東北大学リーグという地方の大学リーグから重点的に選手を獲得し、タイトルホルダーを輩出するのは、スカウティングの勝利と言えるだろう。ほかにも九州の第一工大、岐阜経済大など地方大学から積極的に選手を獲得している。投手陣崩壊でクライマックスシリーズのファイナルステージ敗退を喫しただけに、今年は即戦力投手中心の指名になるは間違いないところか。“1本釣り”を好むだけに即戦力投手の1位指名が有力だ。

ソフトバンク 高校生17人(育成20人)大学生4人(育成6人)社会人3人(育成1人)その他0人(育成2人)

 圧倒的に高校生偏重の指名をする。高橋純平(県岐阜商)を引き当てた2015年などは、ドラフト指名6人全員が高校生。育成を含めても、高校生9人、大学生2人という構成だった。3軍制を敷き、育成には自信を持つだけに、完全に育成球団としての性格を前面に押し出している。石川柊太(2013年育成1位=創価大)、大竹耕太郎(2017年育成4位=早大)など、1軍で戦力になる投手を育成から輩出。実績を残しているだけに育成システムには絶対の自信があると思われ、今後もこの傾向が続くだろう。

日本ハム 高校生20人(育成0人)大学生14人(育成0人)社会人6人(育成0人)その他0人(育成0人)

 こちらも育成型で、高校生の指名が非常に多い。球団経営的に、高年俸選手のFA移籍やMLBへのポスティングなど、流出した主力選手を育成によって補う戦略をとっており、ドラフトで豊富な若手を供給することで主力流出後のリスクマネジメントを行っている印象がある。上沢直之(2011年6位=専大松戸高)中島卓也(2008年5位=福岡工高)、近藤健介(2011年4位=横浜高)、中田翔(2007年高校生ドラフト1巡目=大阪桐蔭高)、西川遥輝(2010年2位=智弁和歌山高)と主力の大半が高卒。今年も高校生が豊作と言われるだけに、日本ハムにとっては腕の見せ所になるだろう。

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