イチローと.350超の首位打者争い 引退のマウアーは21世紀を代表する名捕手

2009年にイチローと超ハイレベルな首位打者争い

 マウアーは2006年に.347で首位打者を獲得。この年はヤンキースのデレク・ジーターと激しいデッドヒートを演じた。2008年に.328で2度目の首位打者。そして翌2009年も.365で連続首位打者。この年はイチローも好調で、両者は9月になっても打率.360台の高いレベルで厘差の打率争いを演じた。しかしマウアーは1度も首位の座を明け渡さなかった。この年は出塁率、OPS(出塁率+長打率)も1位となり、MVPに選出されている。

 2010年オフにツインズと8年1億8400万ドル(約210億円)の大型契約を結ぶ。このころからマウアーは一塁での起用が増えていたが、脳震盪の影響、守備の負担を軽減するため、2014年から一塁手に専念することとなった。

 しかし、皮肉なことにこの年から成績が下落。長打も減り、平凡な成績になってしまった。2017年に打率.305と久々に3割をマーク。復活が期待されたが、大型契約が切れる2018年のシーズン前には引退をほのめかしていた。4月には2000本安打を記録、しかしオフに入って引退を正式に表明した。最後の年もレギュラー選手として規定打席に達していた。

 15シーズンの通算成績は1858試合で6930打数2123安打、143本塁打、923打点、打率.306だった。今では珍しいツインズ一筋のフランチャイズ・プレイヤー。2123安打はツインズ選手としては歴代4位だった(1位はサム・ライスの2889安打)。

 捕手としてプレーした2004年から13年までの通算打率は.323、一塁手に転向した2014年から2018年までは.278だった。ライバルのイチローよりも10歳年下の35歳での引退は早すぎる気もするが、21世紀のMLBを代表する名捕手だったといえるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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